ネルギー基本計画(資源エネルギー庁) 骨子
           2003.10      
 全文

主要国の原子力発電への寄与 1999年度実績


発電原価  1999.12

溶融塩炉発電の可能性について




1 2004. 08. 10 読売新聞、福井の美浜原発事故受け号外発行 JR金沢駅前で配布=石川
東京朝刊 石川2 35頁 138字 01段

 福井県美浜町の関西電力美浜原子力発電所で作業員十一人が死傷した事故を受け、読売新聞
北陸支社は九日、JR金沢駅前で号外千部を配った。津幡町能瀬、会社員森安優子さん(26)は、
「(石川県には)志賀原発もあるので非常に不安。原因を究明し、再発防止をしっかりしてほしい」
と話していた。


1 2004. 08. 10 美浜原発事故、突然の蒸気、容赦なく想定外…軽装で作業 熱気に消防も二の足
東京朝刊 社会
 39頁 2411字 07段 写真


 ◆熱気充満、消防も二の足
 福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機のタービン建屋内で九日、二次冷却水の蒸気が噴出した事故は、作業員四人死亡、二人重体、五人重軽傷という惨事となった。突然、復水配管の穴から流れ出した100度を超える水蒸気が、下にいた作業員に容赦なく降り注いだ。救急隊員が充満した蒸気の中で倒れた作業員を懸命に手当てする――。稼働中の原発施設で起きた深刻な死傷事故に、関電など原発関係者の間に衝撃が広がった。〈本文記事1面〉
 水蒸気は建屋内に充満し、火災報知機が作動した。作業員十一人のうち七人は自力で出口まで逃げたが、四人は配管近くで倒れ、耐熱服を着用した関電社員らが担架で外に運び出した。
 二階天井付近の配管に大きな穴が開いていた。配管を包む石こうボードの破片が床に飛び散り、床には熱湯がくるぶしまでたまっていたという。建屋二階は消防隊員が突入をためらうほどのすさまじい熱気だった。
 現場に最も早く到着した美浜消防署の隊員(52)によると、タービン建屋に隣接する作業員詰め所に負傷した四、五人が横たわり、救急隊員や作業員が角氷や水を運んで負傷者の体を冷やすなど、あわただしく応急措置をした。苦しそうに、うめき声を上げる負傷者や、消防隊員が声をかけても反応はなく手を握ったまま硬直していた人もいた。常駐の看護師とみられる女性が作業員の一人に心臓マッサージをしながら「心臓と呼吸が停止している。すぐに運んで」と叫んだ。
 作業員が所属する大阪市天王寺区の木内計測は、冷却水配管の弁の検査などを関西電力の関連会社から請け負っており、今回は今月二十日ごろから約一か月かけて実施する予定だった。事故に遭った作業員らは、この検査の準備作業のため、工具を搬入していたが、蒸気漏れなどは想定しておらず、装備はヘルメットに安全靴、脚半などの軽装だった。
 同社の曽我唯志・技術本部開発課長は「うちの社員は事故現場に居合わせただけと考えている。想定外の事故で筆舌につくしがたい」と沈痛な面もちで語った。
 ◆「まさか」関電騒然
 「負傷者多数。原子炉はトリップ(自動停止)の情報」「まさか。どうなってるんだ」。午後三時三十分ごろ、大阪市北区の関西電力本社原子力事業本部に事故の一報が入ると、騒然とした雰囲気の中で、社員らは情報収集にあたった。
 記者会見した同事業本部長の松村洋常務は、四人死亡の情報がメモで差し入れられると、しばらく目を閉じ、「私たちがきちんとしていれば、こんなことにはならなかった。申し訳ない。本当に申し訳ない」と絞り出すように話した。
 破損した配管がアップで写し出されたデジタル写真が届くと、松村常務は「こういうのは見たことがない」と絶句。「原因を見極めて対処を考えていきます」と話すのが精いっぱいだった。
 午後八時二十分からは、出張先の東京から急きょ帰阪した藤洋作社長が記者会見し、「亡くなった四人の方には申し上げる言葉もございません」と頭を下げた。事故原因については「想定するだけの情報がない」と述べたが、「多量の水蒸気が噴出することを想定してなかったことはないと思うが……」と言葉を濁した。
 ◆病院に次々搬送 「痛い」うめき声
 美浜原発から約十キロ離れた福井県敦賀市三島町の市立敦賀病院には、午後四時十分ごろから、従業員が次々と搬送された。ひどいやけどで「痛い」とうめき声を上げる姿に、医師や看護師らは緊張した顔で慌ただしく動き回った。
 四人の死亡が確認されると、院内は重苦しい空気に包まれ、午後六時から、院長らが四階の会議室で、遺族や患者の家族に容体などを説明した。病院職員に支えられ、涙を流しながら霊安室に向かう家族もいた。
 亡くなった井石智樹さん(30)は三年前に結婚し、敦賀市のマンションで、妻芳美さん(30)、一歳六か月の長男大翔(つばさ)ちゃんと三人で暮らしていた。智樹さんは大翔ちゃんをとてもかわいがり、家族三人で楽しそうに出かけていたという。駆けつけた父、浦谷三千弘さん(57)は「とても信じられない。まさか息子がこんな事故に遭うとは……」と言葉を失った。
 同県小浜市の高鳥裕也さん(29)は両親と弟の四人暮らし。近所の女性は「両親が『半年間、青森に行っている』と寂しそうに話していたこともあったが、最近は裕也さんの部屋の明かりがもれていたので、こちらで働いて、両親を安心させていると思っていた。穏やかな親思いの青年だったのに」と声を震わせた。
 田岡英司さん(46)は、六、七年前に福井県上中町に家族四人で引っ越してきた。地元の自治会長を務め、草刈りなど奉仕活動に率先して取り組むなど、地域の信頼は厚かったという。
 中川一俊さん(41)が会長をしていた子供会の副会長、百田(ももた)京美さん(34)は「一生懸命、子どもたちの世話をしてくれる人だった。八日も町内のバレーボール大会があって、朝早くから審判員として汗を流していたのに」と涙ぐんだ。
 
 ◆固有の事故でない
 原子力安全委員を務めた住田健二・大阪大名誉教授(原子力工学)の話「タービン建屋は、予兆がなければ、警戒心を持って特別な防護用の装備を準備するような場所ではないだろう。タービン建屋の配管は原子炉のように放射線の影響を受けるわけではなく、環境的に劣化が進みやすいわけでもない。原発固有の事故という印象は持てない」
 ◆維持規格が未整備
 小林英男・東京工業大教授(破壊力学)の話「二次冷却水の配管は、設備の健全性を評価する『維持規格』が整備されておらず、日本機械学会で作りつつあるところだった。そんな時に事故が起きてしまったのは残念だ。復水配管の検査、管理はきちんとされていたはずで、どうしてこんな事故につながったのか、徹底的に調査しなければならない」


浜原発事故 安全管理“軽視”の施設(解説) 東京朝刊 2社 38頁 535字 04段

 死傷者十一人を出し、商業用原発では過去最悪の事態となった関電美浜原発3号機の蒸気噴出事故は、過去の原発トラブルで何度も経験したように、安全管理上はさほど重視されていない設備上の“盲点”で発生した。
 事故のあったタービン建屋は原発に特有の施設ではなく、一般的な工場とさほど変わらない鉄筋コンクリート造り。分厚いコンクリート製格納容器に収まった原子炉建屋と違って、放射能を帯びていない二次冷却水が通る施設。このため、運転中でも見学者を受け入れることもあるほど、原発内では比較的安全度の高い空間と見られていた。今回、作業員らも通常の作業服で入っていた。
 原子力施設の事故やトラブルは、一九九九年の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」(茨城県東海村)の臨界事故に象徴されるように、放射能汚染が施設内外でどれだけ広がるかが評価の尺度になっている。
 そのため、今回の事故は死傷者数は多いが、原子力事故としての暫定評価は軽微な事故扱いとなった。しかし、原子力への信頼は、原子炉などの中核施設だけでなく、周辺の一般的な施設の安全性にも大きく左右される。事故の起きた設備は軽視されてはいなかったか。思わぬ老朽化が見過ごされていなかったか。今後の厳格な検証が欠かせない。(科学部 木下聡)



1 2004. 08. 10 福井・美浜原発事故 信頼揺らぐ恐れ 「試算隠し」など不祥事相次ぎ
東京朝刊 B経 08頁 555字 04段

 福井県美浜町の関西電力美浜発電所3号機で九日、作業員十一人が死傷する事故が起きたが、二年前の東京電力の原子力発電所トラブル隠しで一時停止していた十七基の原発のうち、ようやく十五基が再開にこぎ着けた矢先の新たな重大事故発生で、原発の安全性に対する国民の信頼が、再び揺らぎかねない状況に陥った。〈本文記事1面〉
 七月には使用済み核燃料を再処理せず、直接処分した場合の試算を、経済産業省・資源エネルギー庁が隠していた問題も発覚。三月の国会答弁で「再処理しない場合の試算はない」と答弁した当時の資源エネルギー庁長官ら十三人が、八月五日までに訓告や口頭による厳重注意処分にされた。
 さらに、経産省の試算隠しが発覚した後、電気事業連合会や国の原子力委員会も、過去に行った、直接処分した場合のコストの「試算」が見つかったと公表するなど、国民の不信を招く事態が相次いでいる。
 こうした状況下で起こった美浜原発の事故は、原発に対する不信を増幅させかねない状況を招いたといえる。関西電力は同日の会見で「事故の調査結果次第では、運転を止めて検査することも考えられる」としている。記録的猛暑が続く中、運転が止まれば電力供給に影響が出る可能性もある。
 国民の不信を払しょくさせるためには、電力業界と行政が一体となった取り組みが早急に求められる。

1 2004. 08. 10 [社説]原発死亡事故 過去の教訓は生かされていたか 東京朝刊 三面
03頁 953字 03段

 安全対策のどこに、ほころびがあったのだろう。
 関西電力の福井県・美浜原子力発電所で、高温蒸気が復水配管から噴出し作業員四人が死亡した。運転中の原発で複数の死者が出た事故は、わが国で初めてだ。
 異常の発生で原子炉は停止した。事故による放射能漏れの心配はない。
 しかし、タービン建屋は、原発全体の安全と深くかかわる。原子炉の熱を除去する重要な役割を担う。高温蒸気が大量に漏れたという事実は重い。
 欧米の原発でも、タービン建屋では火災などが起きている。経済産業省原子力安全・保安院と関電は、事故原因の徹底解明に努めねばならない。
 事故が起きた美浜3号機は加圧水型と呼ばれる原発だ。
 原子炉で発生した熱を一次系冷却水で取り出した後、熱交換で二次系冷却水を沸騰させて高温蒸気を作り、発電用タービンを回す仕組みになっている。二次系が放射能に汚染されないのが長所だ。
 しかし、美浜原発では一九九一年に、2号機の一次系で伝熱細管の破断事故を起こしている。冷却系の保守管理が一次系、二次系ともに極めて重要、という教訓は生かされていたのか。
 関電によると、二次系の大口径の復水配管に穴が開き、大量の高温蒸気が噴き出した。穴が開いた原因の究明が、事故調査のポイントになるだろう。
 亡くなったのは全員、下請け企業の作業員だ。事故当時、どんな作業をしようとしていたのか、関電は事故後、長時間にわたって把握できなかった。
 だが、機器の点検、運転の安全性確保は、電力会社の責任だ。とりわけトラブルの発生時には、電力会社はきちんと事態を掌握すべきである。
 関電では最近、火力発電所の点検・検査でデータの不正申告があり、社内処分を行ったばかりだ。
 東京電力の「トラブル隠し」で、原発への逆風は強くなった。電力会社は社内の管理体制の見直しを進めているが、まだ問題があるということだ。
 原発を含め、あらゆる電力施設の安全と安心を保つため、電力会社は会社の隅々まで再点検しなければならない。
 ただ、事故が起きた二次系の復水配管は火力発電所にも類似の装置があり、原発特有のものではない。加圧水型は関電のほか北海道、四国、九州の各電力と日本原電で稼働している。
 今回の事故をもって、原発の危険性をあおり立てたり、過剰反応して他の原発の操業に支障が出るようなことがあってはならない。

2004. 08. 10 美浜原発事故 小泉首相「万全を期す」 官邸に連絡室を設置  東京朝刊 三面 03頁 240字 01段

 政府は九日夕、関西電力美浜原発の事故を受け、首相官邸の危機管理センターに連絡室を設置し、野田健内閣危機管理監を中心に情報収集に当たった。
 小泉首相は九日夕、首相官邸で記者団に、「死傷者が出て残念だ。原因究明、再発防止、安全対策に万全を期さないといけない。事実確認をした後、しっかりと対応しなければいけない」と述べた。細田官房長官は、「原子力安全・保安院からは『周辺への放射能の影響はない』という報告を受けているが、引き続き状況を監視し、必要な体制で対応しなければならない」と述べた。

2004. 08. 10 原発で蒸気噴出、4人死亡 冷却水配管が破損/福井・美浜=号外も発行 東京朝刊 一面 01頁 1799字 07段 写真・図
 ◆タービン建屋2人重体5人けが 放射能漏れなし
 九日午後三時二十五分ごろ、福井県美浜町の関西電力美浜原子力発電所3号機(加圧水型軽水炉、出力八十二万六千キロ・ワット)のタービン建屋二階で、復水配管から高温高圧の二次冷却水が水蒸気となって噴き出し、関西電力との契約で定期検査の準備作業をしていた「木内計測」(本社・大阪市)の作業員十一人が蒸気を浴び、やけどを負った。高鳥裕也さん(29)(同県小浜市)ら四人が全身やけどで死亡。二人が意識不明の重体、五人が重軽傷。経済産業省原子力安全・保安院によると、運転中の原発事故で複数の死者が出たのは初めて。福井県警は業務上過失致死傷の疑いで捜査を始めた。〈関連記事3・8・38・39面〉
 関電によると、水蒸気がタービン建屋内に充満し、火災報知機が作動。直後に原子炉が自動停止した。二次冷却水には放射能は含まれておらず、放射能漏れはないという。周辺の放射能モニターにも異常はないとしている。
 タービン建屋は鉄筋コンクリート三階建て。原子炉や蒸気発生器のある格納容器建物に隣接し、発電機や、タービンを回した後の二次冷却水を蒸気発生器に戻す復水器という装置などを収めている。
 事故のあった二階部分は縦四十メートル、横百三メートルで、天井の高さは七メートル。破損したのは二つある復水配管の一つで炭素鋼製。管の直径が約五十六センチ、管の厚みが約一センチ。タービンを回した後、蒸気発生器に戻る途中の二次冷却水(約10気圧、約140度)が流れていた。配管が最大約五十七センチの大きさで垂れ下がるように破れていた。この部分から水蒸気が建屋内に噴出した。
 関電などによると、事故当時、三階建てのタービン建屋には作業員ら二百二十一人がいた。二階にいた十一人のうち七人は出口から逃げたが、四人が配管近くで倒れた。十一人はいずれも冷却水の配管の弁の検査を行う木内計測の従業員で、通常の作業服姿だった。
 ◆「減肉摩耗」の可能性 配管の厚さ最小1.4ミリに
 配管が破損した原因について、関西電力の森中郁雄・原子力発電部長は九日深夜の記者会見で、高温高圧の水流で配管の厚みが削られる「減肉摩耗」の可能性が高いとの見方を示した。破損部分は設計上厚さ約一センチだったが、事故後の現場検証では、最も薄いところが約一・四ミリだったことが判明。「破損時に鋼が延びた可能性もあり、現段階で断定できないが、減肉の可能性が高い」と語った。技術基準で定める最小肉厚は四・七ミリだった。
 復水配管には直径がいったん狭くなった後、広くなる場所があり、要注意とされていた。約一年に一回の定期検査時には漏えい確認の点検が行われ、管を覆っている保温材に水滴がついているのを見つけ、破損が判明したケースもあった。
 関電は一九七六年の発電開始以来、破損場所の超音波検査を行ったことはなく、今回の定期検査で初めて測定する予定だった。
 一九八六年には米国のサリー原発で、今回と同じ炭素鋼の配管が減肉摩耗によって破断して、二次冷却水を浴びた作業員四人が死亡する事故が起きている。
 ◆事故評価「0+」
 保安院は、今回の事故を国際原子力事故評価尺度(INES)で「0+」と見ている。INESは「7」(深刻な事故)から「0」(尺度以下)の八段階で示す。「0」は、安全に影響を与えるか否かで「+」と「−」に区分する。
     ◇
 美浜原発事故の死傷者は次の通り(敬称略)。 ▽死亡=高鳥裕也(29)、中川一俊(41)、田岡英司(46)、井石智樹(30)▽重体=亀窟(かめいわ)勝(30)、愛甲将樹(29)▽重軽傷=岡田真一(43)、早佐古清(44)、小矢淳平(23)、宇敷邦夫(46)、林克己(54)
  〈二次冷却水〉加圧水型炉では、炉心を循環し原子炉内の熱を取り出す一次冷却水と、この一次冷却水から「蒸気発生器」と呼ばれる熱交換器で熱を受け取る二次冷却水がある。二次冷却水は高温の蒸気で、タービンを回し発電する。配管が別系統のため、放射能を含む一次冷却水と違い、二次冷却水は放射能に汚染されていない。
 
 写真=最大約57センチにわたり破損した復水配管。炭素鋼製の配管がめくれ、垂れ下がっている(原子力安全・保安院提供) 写真=蒸気噴出事故があった美浜原発3号機。手前の四角い建物がタービン建屋(9日午後6時、福井県美浜町で、本社ヘリから)
 図=美浜原発3号機 加圧水型軽水炉の仕組み 図=地図


2004. 08. 10 美浜原発事故 原発の町、重苦しい朝 「謝って済む事か」 東京夕刊 夕社会 19頁 1326字 06段 写真


 ◆病院訪問の関電社長に負傷者家族、怒りの声
 死傷者十一人を出した福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機のタービン建屋内の事故から一夜明けた十日、藤洋作・関電社長は負傷者が入院する病院を訪れて謝罪した。建屋周辺は警察官が現場保存のため、立ち入りを規制し、関電や関連会社の社員らが不安そうに出勤した。関電は地元の原子力PRセンターの見学者の受け入れを急きょ中止するなど、“原発の町”は重苦しさに包まれた。〈本文記事1面〉
 ■社長謝罪 
 藤社長は、水色の作業服姿で、午前十時三十分ごろ、重体の亀窟(かめいわ)勝さん(30)と重傷の宇敷邦夫さん(46)が入院する福井大付属病院(松岡町)に到着。報道陣に「申し訳ないことをしたと、まずは謝罪したい」と話し、終始うつむき、沈痛な表情で佃郁朗常務とともに、集中治療室に向かった。
 病院によると、重度の熱傷を負った亀窟さん、宇敷さんともに容体に変化はないといい、家族は集中治療室隣の控室で夜通し付き添ったが、藤社長との面会では「謝ってすむようなことではない」と怒りの言葉が飛んだという。
 藤社長らは、高鳥裕也さん(29)(小浜市)ら亡くなった四人の自宅を午後から訪ね、遺族に弔意を示す。
 ■見学中止 
 タービン建屋入り口付近は、常時二人の警察官が立ち、立ち入りを規制。午前七時ごろから出勤してきた関電や関連会社の社員らは、大勢の報道陣や上空を旋回するヘリコプターに驚いた様子。
 同原発では、今月末までに県内外の十七団体から見学予約が入っているが、十五日までの三件(四十八人)を中止に。美浜原子力PRセンターは「見学という雰囲気ではない。十五日以降も中止するかどうか、検討している」と話す。
 美浜町の関電若狭支社でこの日朝、会見した小門晃・美浜発電所次長は「結果としては認識が甘かった。摩耗して薄くなりやすい配管の曲がった部分は確認していたが、破断個所は直線部分なので死角になっていた」と困惑気味に語った。
 ■対策会議 
 福井県庁では、十日午前九時から、西川一誠知事ら約二十人が出席して事故対策本部会議が開かれた。
 西川知事は、負傷者の治療に全力をあげることや、観光産業などへの風評被害防止に努めることなどを指示。安全対策が十分だったかを見直すよう国に求めることを明らかにした。
 また、西川知事は、小泉首相と電話で会談。「県は国の原子力政策に協力しており、国としても、点検の指示など、長期的な視点も含めて、毅然(きぜん)とした態度で方針を示してほしい」と要望した。小泉首相は「政府としてバックアップする」と支援を約束したという。西川知事はこの日朝の県議会への事故説明会で「直ちに、ほかの(県内にある同型)原発も止めて検査すべきだ」と述べた。
 ■現場検証 
 午後一時過ぎ、県警の捜査員約三十人と原子力安全・保安院の検査官も立ち会って現場検証を開始。タービン建屋内の復水配管の破断状況などについて詳しく調べた。
 ■花火も中止 
 美浜原発から約十五キロの美浜町役場では、原子力対策室の職員八人が、ほぼ徹夜で情報収集を続けた。美浜町などは、十日夜に行う予定だった花火大会の中止を決めた。
 
 写真=蒸気噴出事故から一夜明け、美浜原発に入る関係車両(午前8時20分、福井県美浜町で)


2004. 08. 10 福井・美浜原発事故 配管の厚さ10分の1に 二次系の安全管理に盲点(解説) 大阪朝刊 2社 38頁 877字 04段

 関西電力美浜原発3号機のタービン建屋内で二次系配管から蒸気が漏れ四人が死亡した事故で、破損した配管周辺は、関電が事故の可能性のある〈要注意〉個所として点検項目にしてきただけに、未然に防ぐことができたのではという疑問が残る。詳細な調査が望まれる。
 「(水蒸気が噴き出すということも)想定して、配管の厚みを点検してきた」。記者会見で関電の松村洋常務は破損事故が予測できた可能性について触れた。
 常務がこう話すのは、一九八六年十二月に、米国のサリー原発で作業員四人が死亡する今回と同様の事故が起きて以来、関電では事故のあった配管周辺、特に破損した個所の前後にある曲がった部分について超音波で配管の厚みを検査してきたからだった。
 今回破損のあった付近についても水流が乱れ、配管内部が削られる「減肉摩耗」が起こる可能性が指摘され、今月の定期検査から超音波検査をする点検個所に加えることにした直後の事故だった。
 関電によると、破損個所の配管の厚みは設計時の十ミリから最も薄いところで一・四ミリへと、約十分の一まで削られていた。3号機の建設に参加した石井亨・元三菱重工神戸造船所原子力技術統括室長は「どうしてこの部分で穴が開いたのか。現場を見てみないと何も言えない」としているが、惨事は防ぐ手だてはなかったのだろうか。
 モニタリングの不備が指摘できる。今回の事故では、蒸気発生器(SG)の水が一時間当たりに換算して三百トン減るなどして原子炉が自動停止したが、これだけ大量の水が失われる前には、破損の前兆があるはずで、微小な漏えいで検知する装置をつけても良かったのではないか。一九九五年十二月にナトリウム漏れ事故を起こした高速増殖炉もんじゅでは、二次系のナトリウムが漏れた場合、わずかな漏えいで検知する装置が付いている。関電も同様の装置をつけられないことはなかったはずだ。
 3号機のような加圧水型軽水炉は放射性物質を扱う一次系に比べてタービン建屋などの二次系に対する安全管理は落ちる。そこに盲点はなかったか。同様の施設がある火力発電所なども含めて早急な点検が必要だ。
                  (科学部 秦 重信)

井・美浜原発事故 配管に大穴「まさか」 現場写真届き絶句 関電社長陳謝 大阪朝刊 2社 38頁 1692字 08段 写真

 ◆「点検万全のはずが」
 「負傷者多数。原子炉はトリップ(自動停止)の情報」「まさか。どうなってるんだ」。九日午後三時三十分ごろ、大阪市北区の関西電力本社原子力事業本部に事故の一報が入ると、騒然とした雰囲気の中で社員らは現地から情報を集めた。
 詰めかけた報道陣に対し、四時四十分から、同事業本部長の松村洋常務と川辺辰也・報道部長らが記者会見。松村常務は青ざめた表情ながら、「放射能漏れの問題はない。原子炉の事故ではない」と繰り返した。
 救急搬送された十一人についての質問が飛ぶと、「今、確認中です」と声を荒らげたが、四人死亡の情報がメモで差し入れられると、しばらく目を閉じ、「私たちがきちんとしていれば、こんなことにはならなかった。申し訳ない。本当に申し訳ない」と絞り出すように話した。
 六時ごろには報道陣は約七十人に膨れあがり、タービン建屋の構造や穴が開いた配管などに関する質問が殺到。松村常務らは会見場を出たり入ったりして調べながら配管系統図を使って対応したが、「何でこんなことになったのか。(破損個所は)想定外だ」「管の点検はちゃんとやっているのに」とつぶやき、図の前まで押し寄せた報道陣にもみくちゃにされた。
 破損した配管がアップで写し出されたデジタル写真が届くと、松村常務は食い入るように見つめ、「こういうのは見たことがない」と絶句。「原因を見極めて対処を考えていきます」と話すのが精いっぱいだった。
            ◇
 関西電力の藤洋作社長は九日夜、大阪市の本社で会見し、「原子力の設備については日ごろから万全の補修・点検活動を取るように指示していた。結果的にこういうことが起きて、申し訳ない」と陳謝した。
 今回の事故原因の究明を優先させたうえで、事故を起こした美浜3号機とタービンや配管などが同じ型の高浜原発1、2号機の点検を検討するとした。
 高浜原発で予定されているプルサーマル計画や、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設については、「プルサーマルなどは地元のご理解を得ながら、従来通り慎重に進めたい」と述べた。自らの責任問題に関しては、言及を避けた。
        …………………………………
   <美浜原発3号機事故の経過>
15時28分   警報が作動し、原子炉が自動停止
15時34分   救急車要請
15時40分   タービン建屋から5人救出
15時45分   救急車・救急隊到着
16時ごろ    タービン建屋1、2階を捜索開始
         負傷者11人を確認。1人は搬出済み
16時10分ごろ 負傷者3人を救急車で搬出済み
         残り7人は休憩所で手当て中
         建屋内でその他負傷者を確認中
16時15分   救急車3台目到着
16時20分   救急車3台目出発(2人搬出)
16時27分   消防署と関電の救急隊員2人がター
         ビン建屋3階へ捜索のため立ち入り
16時38分   救急車4台目出発(2人搬出)
16時40分   救急車5台目到着
16時40分ごろ 関電本社で原子力事業本部長の松村
         洋常務が記者会見。「放射能漏れの問
         題はない」
16時46分   救急車5台目出発(2人搬出)、消
         防署の車(1人搬出)
20時00分   福井県庁で県と関電が記者会見
        …………………………………
 ◆減肉摩耗の可能性
 小林英男・東京工業大教授(破壊力学)の話「今回の事故の原因が、水流の乱れで配管の厚みがすり減る減肉摩耗である可能性は十分に考えられる。ただ復水管の検査、管理はきちんとされていたはずで、今後、徹底的に調査しなければならない。日本機械学会では、こうした二次系についても、設備の健全性を評価する『維持規格』を作りつつあるところで、事故が作成前に起きてしまったのは残念だ」
 ◆防護準備ない場所
 住田健二・大阪大名誉教授(原子力工学)の話「タービン建屋は、事故に結びつくような予兆がなければ、警戒心を持って特別な防護用の装備を準備するような場所ではないだろう。タービン建屋の配管は原子炉のように放射線の影響を受けるわけではなく、環境的に劣化が進みやすいわけでもない。原発固有の事故という印象は持てない」

2004. 08. 10 福井・美浜原発3号機事故 蒸気噴出4人死亡 2次系配管が破断=号外も発行 大阪朝刊 一面 01頁 1653字 09段 写真・図

 ◆2人重体、5人重軽傷 放射能漏れなし
 九日午後三時二十分ごろ、福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力八十二万六千キロ・ワット)のタービン建屋二階で、二次冷却系の復水配管が破断、約140度の熱湯が蒸気になって噴き出し、近くで定期検査の準備作業をしていた「木内計測」(本社・大阪市天王寺区)の作業員、高鳥裕也さん(29)(同県小浜市北塩野)ら計十一人が蒸気を浴びた。約十分後に関西電力が119番。全員がやけどを負っており、同県敦賀市内など四病院に搬送されたが、高鳥さんら四人が死亡。二人が意識不明の重体、五人が重軽傷を負った。国内の原発事故で最悪。県警捜査一課は業務上過失致死傷の疑いで敦賀署に捜査本部を設置。十日に現場検証する。
              〈関連記事3・9・38・39面〉
 事故と同時に原子炉は自動停止し、二次冷却水に放射能は含まれておらず、周辺の放射能モニターにも異常はなく、放射能漏れはない、としている。
 他に亡くなったのは、同県三方町藤井、中川一俊さん(41)、敦賀市相生町、井石智樹さん(30)、上中町大鳥羽、田岡英司さん(46)。
 関電の説明などによると、当時、3号機のタービン建屋(三階建て)には木内計測の社員や他の作業員計二百二十一人が十四日から始まる定期検査の準備をしていた。蒸気発生器に十気圧かけた水を送り込む炭素鋼製の復水配管が二階に通っており、二本のうち一本が切断されたようになり、流れ出した熱湯が蒸気となった。十数メートル離れた所にいた木内計測の十一人のうち、七人は自力で出口まで逃げたが、死亡した四人は配管近くで倒れていた。
 ◆厚み不十分、摩耗進む? 76年稼働 超音波検査一度も行わず
 破断が起きたのは、蒸気でタービンを回した後、蒸気発生器に戻すための復水配管で低圧給水加熱器と脱気器の間。復水配管は水流の乱れによってすり減る「減肉摩耗」が起きやすい。関電によると、破断個所の厚みは設計上、十ミリあるはずだったが、実際は一・四―三・四ミリしかない。
 国の技術基準では、厚さが四・七ミリ以下にならないよう定められている。さらに、破断個所は、配管の直径が狭くなった直後に再び広くなる場所にあたり、「流れが悪くなった水が再び放射状に広がり、配管内に当たって摩耗が進んだのではないか」としている。
 約一年に一回の定期検査時には、目視点検が行われ、管を覆っている保温材に水滴がついているのを見つけ、破損が判明したケースもあった。十四日から始まる定検では超音波を使って管の厚みを測定する予定だった。関電は自主的な指針で「十年ごとに25%ずつ点検する」と定めていて、今回破断のあった場所については、一九七六年の発電開始以来、超音波検査を行ったことはなかった。
 一九八六年には米国のサリー原発で、今回と同じ炭素鋼の配管が減肉摩耗によって破断して、二次冷却水を浴びた作業員四人が死亡する事故が起きている
 ◆事故尺度「0+」
 原子力安全・保安院は、今回の事故を国際原子力事故評価尺度で下から二番目の「0+」と見ている。「7」(深刻な事故)から「0」(尺度以下)の八段階で示す。「0」は、安全に影響を与えるか否かで「+」と「−」に区分する。
 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(一九八六年)が最高の「7」だった。
 …………………………………………… 
 負傷者は次の通り。(敬称略)【重体】亀窟勝(30)(小浜市水取)、愛甲将樹(29)(小浜市千種)【重傷】宇敷邦夫(46)(上中町井ノ口)、岡田真一(43)(小浜市南川町)、林克己(54)(小浜市和久里)【軽傷】早佐古清(44)(小浜市下根来)、小矢淳平(23)(美浜町丹生)
 

社会ニュース - 910()1016

原発地元に8億7千万円 4年連続で匿名の寄付

 発電所の地元自治体に匿名で多額の寄付が続いている島根県で、中国電力島根原発を
抱える鹿島町に、今年も8億7000万円の匿名の寄付があることが10日、分かった。
 鹿島町には2001年度から昨年度まで、計26億円が匿名で寄付されている。寄付して
いるのは中国電力とみられる。
 市民団体「島根原発増設反対運動」の芦原康江代表は「(中国電力は)金で原発問題を
解決するのはやめてほしい」と話している。
 同町は、寄付を14日から開会する町議会に補正予算案として計上する予定。
 同県では、鹿島町に隣接する島根町にも2000年度から昨年度までに計12億円の
匿名の寄付があった。また今年6月には、火力発電所の着工が延期になった三隅町
にも4億5000万円の寄付があった。
(共同通信)

美浜原発事故/安全の基本がなってない 2004/08/13


 厚さ十ミリの配管は、一・四ミリまで薄くなっていた。破断し、めくれ上がった内部はさびつき、磨耗している。
二百度の高温にもなる高圧水の破壊力は想像を絶する。
 死亡した作業員たちの気道は、激しい蒸気で焼けただれていた。消防が写した現場写真が事故の痛ましさを伝える。

 十一人が死傷した関西電力美浜原発3号機の蒸気噴出事故は、発電機のタービンに蒸気を送る二次系配管が、
高温高圧水により腐食・磨耗して薄くなっていたために起きた、との見方が有力になった。

 福井県警は、業務上過失致死傷の容疑で現場の担当者から事情聴取を始めた。発生から時がたつにつれ、
保安管理体制の不備による「人災」の疑いが強まっている。

 それにしても、関西電力はいったい、なにをしていたのか。

 3号機の稼働が始まって二十七年、その間、問題の個所を一度も検査していなかった。下請け会社が昨年、
検査を進言したのに放置していた。信じ難いのは、点検個所のリストアップも、実際の検査も、下請け会社に丸投げしていたことだ。

 登録リストと検査個所を網羅した図面との照合を怠ってきたため、破断した個所が点検リストから漏れて
いることに、事故が起きるまで気づかなかった。

 減肉と呼ばれる同種の事故は、一九八六年に米国のサリー原発で起きている。これをきっかけに、国は
超音波検査による自主点検をルール化した。だが、二次冷却水は放射性物質を含まないため、検査手順や、
ひん度は電力会社に任されている。

 関電は、事故の教訓を生かさなかったばかりか、自主ルールさえも守っていなかった。経営陣の責任は
きわめて重大だ。

 美浜3号機のような加圧水型の原子炉では、同様の減肉現象が避けて通れない。火力発電でも類似の
高温高圧の冷却水が使われ、同じ問題が指摘されている。国は早急に検査の現状把握に努めるとともに、
各電力会社を通じて、発電所ごとに必要な点検項目を洗い出すべきである。

 今回の事故で、福井県は高速増殖炉・もんじゅの運転再開に向けた改造工事の事前了解について
判断先送りの考えを示した。関電にはプルサーマル計画の保留を促すことも検討している。いずれも
国が核燃料サイクル政策の基本に据えるものだ。

 安全運転の基本すら守られないのでは福井県が慎重になるのも当然だ。

 国の原子力政策は「安全」の基本が確立されない限り、信頼を得られない。事故が突きつけたのは、
まさにそこだろう。 http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu04/0813ja27550.html

美浜原発事故/原因と責任の所在はっきりと(9月7日掲載)福井ニュース - 99()1646 論説

 関西電力(関電)美浜原発3号機の事故で、福井県警は業務上過失致死傷容疑で強制捜査に着手した。高温の蒸気が噴出した
二次冷却系配管の点検漏れなど人災の側面が強い。安全運転を最優先すべき原発で初歩的なミスから大事故につながったことは、
極めて残念だ。この際、責任の所在を徹底的に明らかにするよう捜査陣に求めたい。
 破裂部位は運転開始から二十八年間、一度も点検されないままだった。検査を請け負っていた原子炉メーカーの三菱重工業と、
それを引き継いだ関電子会社の日本アーム、関電の三社の意思疎通が悪く昨年、点検漏れに気付きながら先送りされていた。
配管の点検漏れは原発の品質管理・保証体制の欠落であり、長年の組織的な怠慢といえる。
 同時に関電や原子力安全・保安院、原子力安全委員会は点検漏れの原因解明と再発防止に全力を挙げるべきだ。事故の捜査と
調査は相互に連携して教訓を引き出し、全国の原発の安全性向上に結び付けることが何より重要である。
 原発や火力発電所は高温高圧の水や蒸気が流れてタービンを回して発電する。配管は炭素鋼がほとんどで、長年の運転で
すり減っていく。この摩耗現象は古くから知られていた。しかし、事故が放射能漏れに直結しなかったせいもあり、対策が弱かった。
事故の教訓として全国の発電所で配管の摩耗対策を徹底的に見直すべきだ。各原発の軽微なトラブルのデータベースを充実
させて公開し、安全対策に反映させる仕組みも必要だ。

 今回、関電は検査を協力会社に丸投げしていた実態も明らかになった。安全の根幹にかかわる配管点検などを外部任せにして
おいてはいけない。できる限り自前で検査し、原発の主要部分の「健康診断」にかかわるよう電力会社に求めたい。
 主要な復水管の厚さが当初の約一〇ミリから〇・六ミリまで減っていた。外から押せば分かるような、ぺらぺら状態なのに、
通常の定期検査で見つからなかったのが不思議だ。しかも流量測定機のすぐ下流に当たり、配管が内側から削られやすい
部位に相当していた。点検リストに挙がっていなくても担当者は当然、注意すべきところだった。
 配管の点検漏れが大事故につながったが、背景に原発の老朽化がある。原発は当初、三十四十年が寿命とされてきた。
この運転期間を六十年前後に延長し、発電コストを下げようとするのが電力業界の流れだ。
 しかし、この寿命延長は原発の膨大な部品がすべて適正に管理され、安全性がより確かめられている場合に限る。美浜事故で
分かった点検漏れがあるようでは、原発の延命は危険極まりない。
 特に美浜原発のような一九七〇年代に建設された第一世代の原発二十基は、安全面で不安が残る。今回の事故で配管への
監視が強化されるにしても、ほかの点検漏れを完ぺきにチェックするのは難しい。原発の品質保証システムを根底から再構築
する必要がある。
 一方で運転期間が三十年に達した老朽炉の扱いを安全面から検討すべき時ではないか。そして原発の安全対策が社会の
信頼を得るには、電力会社トップの関与が重要である。複雑で巨大なシステムを動かしているという自覚を持ち、安全管理を
徹底してもらいたい。
「福井新聞」


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