論語3か国語翻訳版出版に寄せて

『論語』出版記念し、式典  山陰中央日報(平成14年)3月15日(金曜日)
-
小松電機産業(本社・松江市、小松昭夫社)はこのほど、同社が社会問題研究などを
目指して設立した「人間自然科学研究所」の東京事務所開設と、日中英3ヵ国語訳の
『論語』の出版を記念したパーティーを都内のホテルで開いた。パーテーでは、元北京
大学教授で、北京中日民間交流センターの張碧清センター長日中の世代間交流の
必要性について記念講演。また、小松代表が『論語』計3百冊を中国孔子基金会などに
送った。同研究所は今後、全国、アジアに活動範囲を広げ、研究、出版活動などを
展開していくという。

------------------------------------------------------------  
日中英三ヵ国語対訳『論語』を出版 日中国交正常化30周年記念

               「Chinese Dragon」 2002年(平成14年)3月5日(火曜日)

人間・自然・科学研究所(HNS研究所)代表小松昭夫・小松電機産業社長は、このたび、
日中国交正常化30周年を記念し、日中英対訳「論語=写真を出版した。) 同書は原文と
日本語読み、日本語訳、現代中国語訳、英語訳で構成されている。総編集者ぼ山東省
曲阜市・孔子文化大学教授であり本紙編集主幹の孔健が務めた。

 同研究所は「『論語』の出版を通じて、恒久平和を生み出す新たな文化の創造をめざ
して運動を広めていきたいとしている。

 8日には、フォーシーズンズホテル椿山荘(東京都文京区)で出版記念とHNS研究
所東京事務所開設記念を兼ねた講演会と披露パーティーを開催する。元北京大学教授で
北京中ぼ民間文化交流センター主任・張碧清氏の講演などのほか、HNS研究所が提案し
ている「平和記念碑」建設事業への呼び掛けを行う。

 同研究所では今回出版した「論語」を日本政府ヘ100冊、中国・孔子基金会へ200
冊寄贈、同会で贈呈式を行う。 同書は希望者に5冊セット一万円で配布される。  
「論語」、出版記念パーティーについての問い合わせはHNS研究所東京事務所
TEL=03-5 408-7518(担当・岩成)まで。

---------------------------------------
  和而不同

  樵巌窟松田秀保老師 松江市枕木山華蔵寺住職
 島根県仁多町大正12(1923)年生 臨済宗南禅寺派 

-----------------------------------------------
発刊に寄せて  小松昭夫 (財)人間・自然・科学研究所代表

恒久平和を生み出す新たな文化の創造をめざして ユーラシア大陸の東方に位置し、四
季の変化に富む豊かな自然に恵まれた日本列島は、古来より朝鮮半島、中国大陸から伝
わった様々な知識や技術を活かし稲作文化を形成しました。 日本は、大陸の律令制度
を見習い国家体制を整え、国家鎮護のための仏教を導入しました。

 9世紀初頭、中国に渡った空海、最澄に代表される留学僧は、インドから玄奘三蔵法
師が持ち帰った釈迦の教えと孔孟思想を中心とする中国の思想を融合した学問を日本に
持ち帰り、平安京(京都)を中心に、新たな文化を生み出しました。 17世紀にはいると、
江戸幕府(:眠京)は、鎖国政策のもと儒学の普及を促し、世界史上例のない300年に及ぶ
平和な時代を築きました。 1853年、アメリカ合衆国の開国要求を契機に、世界的植民地
争奪戦に恐怖を受けた日本は、革新的西洋文明を取り入れ、明治維新を経て富国強兵政
策による国づくりを行いました。 その後、国内外の劇的変動のなか、多くの国々に歴
史的災難を与え、禍根を残したまま今日に至っています。 21世紀初頭、世界は原子兵
器やミサイルが拡散する一方、衛星放送やインターネットの爆発的普及に代表される情
報技術革命が一段と進みました。

 また、アメリカを中心としたグローバリズムの進展は、実質経済と貨幣経済の乖離を
生み、バブルと金融危機を発生させ、その結果、極端な経済格差が世界に広まり、思想
・文化・文明・民族・国家・宗教・階層・世代間の破滅的な衝突さえも懸念される状況
を生み出しました。そして、2001年9月11日、アメリカの世界貿易センタービルと国防
総省が旅客機ハイジャック自爆テロに襲われ、3,000余名が亡くなるという悲劇的な事件
が起こりました。 世界同時不況が懸念されるなか、アメリカ・イギリス連合軍は、関
連諸国の賛同を取り付けアフガニスタン空爆を行いました。その後、炭疸菌による心理
テロの続発、イスラム系民族に対する抑圧・殺害事件の多発等、人類未踏の困難な時代
の到来を予感させます。

 日本国内においても、社会指導者層のモラル崩壊が、政治経済はもとより、あらゆる
社会システムを崩壊させ、凶悪犯罪の日常化、少子高齢化、自然環境破壊を生み出し、
民族・国家存亡の危機を迎えています。この根源的理由は、既得権益層が政治を独占、
意図的に司法・教育を弱体化させてきたことと、国民の無関心が引き起こしてきたこと
です。

 サンフランシスコ講和条約締結50周年、日中国交正常化30周年を迎えるこの時期に、
日本の歴史教科書記述・首相靖国神社参拝是非をめぐり、国内外で過去に例をみない激
しい歴史論争がおきました。 日本首相は中国・抗日戦争記念館と韓国・西大門刑務所
記念館をそれぞれ訪問、反省と謝罪、そして新たな行動をおこすべく内外に宣言しまし
た。

 このような状況下、世界で唯一、半世紀にわたり戦争放棄の平和憲法を遵守、また原
爆投下による被爆体験を伝えてきた日本国民は、世界恒久平和のため、文化間の対話と
協力が生まれる場の創造をする役割があると考えます。

 1988年ノーベル賞受賞者パリ宣言において、「人類が21世紀に生存していくには2500年
前を振り返り、孔子から知恵を探す必要がある」また、1999年孔子生誕2550年を記念し
て北京で開催された、儒学と21世紀の人類社会の平和と発展シンポジウム(17力国参加)
では、「孔子の思想と教えが現在の諸問題解決に知恵を与える」ことが確認されました。

 このたびの日中英対訳 新版『論語』は、恒久平和につながる新たな行動がはじまる
ことを願って出版するものです。 1988年創設の「知革塾」力ヽら生まれた、人間・自
然・科学研究所は、人類覚醒を目指した新たな文化の創造をはかるべく、諸外国との文
化経済交流、シンポジウム開催、「一村一志運動」提唱、治水の偉人「周藤弥兵衛」
「清原太兵衛」「大梶七兵衛」について、それぞれに小説・漫画・児童文学3点セットで
の出版、「太陽の国IZUMO~地球ユートピアモデル事業構想」の発表、中海干拓中
止・活用提案等を行ってまいりました。 また、このたびの出版にあわせ、古くからの
友人である孔祥林先生を通じて、世界一の石榴産地、また銅像の製作地として知られる
中国山東省棄庄市と縁が生まれ、孔子・孟子・周藤弥兵衛・清原太兵衛、4体の銅像の
製作もお願いいたしました。 この東庄市は世界的に知られた日中戦争激戦地であり、
島根・鳥取県の松江63連隊兵士も参戦、たくさんの方が亡くなったところです。ここに
は、「台児庄大戦記念館」力f中国国民の寄付によって建設されています。

 人類の遺産には、社会基盤や科学技術、深遠な知恵だけでなく、
人の怨念や恨みといった目に見えない未解決のものも含まれています。半世紀にわたり
平和を享受、生かされてきた私達は、双方の遺産を活かし、「和而不同」競争と共生が
矛盾なく統合された恒久平和社会創造に邁進する義務と責任があるのではないでしょう
か。

 当研究所では、「前事不忘 後事之師」日本の有史以来の戦争の歴史をさかのぼり、
すべての戦没者の慰霊と、平和への誓いを表明する『恒久平和祈念碑』を中海・宍道湖
圏に建立。これを契機に、「中海」「日本海」の名称入れ替えを提案、皇室、政府、国内外
要人を迎えての式典を行える場の創出を提言しています。あわせて、世界の戦争・平和
記念館と提携、恒久平和創造のための「映像資料館」と「IT映像製造工房」を建設、定期的
な会議と成果発表を行うことで、人類にとって最も重要な知の財産の構築を目指します。

 『用地は国有、施設は民間資金で』を合言葉に具体的な活動をはじめました。 本書
を手にしてくださった皆様との出会いに感謝申し上げますとともに、この活動にご参加
いただきますようご案内申し上げます。

※「第11条 あらゆる財産と富は、正義に則し、人類の進歩のために責任を持って使わ
  れなければならない。経済的および政治的権力は、支配の道具としてではなく、
  経済的正義と社会的秩序に役立つように使われなければならない。 」
    「人間の責任に関する世界宣言」第11条(1997年) 

-------------------------------------------------------
人間・自然・科学研究所 代表 小松 昭夫 様

 このたびは、日中英対訳「論語」をお送り頂き、ありがとうございます。この発刊を通
じて、恒久平和を生み出す新たな文化の創造を目指される小松さんのお気持ちを胸に、
大いに活用させて頂きます。 今後とも、よろしくお願い申し上げます。

平成14年3月26日     小泉純一郎 内閣・総理大臣

.〒100東京都千代田区永田町二丁目3番1号  電話(03)3581-0101 (代表)

--------------------------------------------------
   「政治をひらく」

 日独「さくらの女王」の手を握り笑顔の小泉首相=毎日新聞2002年(平成14年)

日独桜の女王が小泉首相を表敬

小泉純}郎首相は4日ベドイッムンブルクさくらの女王」のアンネマリーメゼーさんと
百本さくらの女王」の浅野玲子さんの表敬訪問を受けた。首相は東京の桜は今年開花が
早く、もう散ってしまいました」と言いながら、両女王と握手。

シュレーダー独首相からクラシック音楽のCDをプレゼントされた思い出話を披露した。

立の維持より。小泉流”大事?「和して同ぜず」首相連発 

「君子は和して同ぜず、小人は同じて和さず」

小泉純一郎首相がこの論語の一節を多用している。4日配信のハ兼内閣メールマガジン
の「らいおんは1と」のコーナでも引用し、「君子は他人とよく心を合わせて事に当た
る。政治や行政に対する国民の信頼が揺らいでいる。心を合わせて努力しなければなり
ません」と決意を新たにした。

 首相がこの一節を引用しだのは、2日の新規採用公務員の研修開講式が最初。首相は
「他人の意見に付和雷同せず、自分白身で考える人間であってほしい」と激励したが、
首相周辺によると事務方が用意したあいさつ文に首相自ら挿入したという。  かなり
お気に入りのフレーズとみられ、首相は3日の自民党の青木幹雄参院幹事長らとの会談
でも、武部勤農相の続投を決定するにあたり、「自公保3党がすべての政策で足並みを
そろえるということではない。『和して同ぜず』ということもある」と述べた。

-------------------------------------------------------
「官僚に論語のススメ」 2002年(平成14年)3月6日水曜(夕刊)

人事院がこの春、実施する課長級対象の公務員研修で、加地伸行・大阪大名誉教授
(中国哲学)を講師に迎え、古典の中の古典「論語」の研究を行うことになった。疑惑や
不祥事の相次ぐ外務省をはじめ霞が斐の官僚に孔子の教えを聞く耳があるかどうか? 
 いまこそ役人として「論語の研究は、人事院公務員研修所(埼玉県入間市)で5月20日
から4泊5日の日程で行わる公務員研修の一環といてして取り上げられる。

従来は各界専門家や学者から公務員倫理につき話を聞くなど試行錯誤をしてきた。
「人間性を高めてもらうため、人類の英知が凝縮した古典を読み、考えてもらいたかっ
た」(根本康王・公務員研修所教務部長)
 定員は30人。各省庁の課長級約20人、官民交流の観点から民間からも官民交流の
観点からも約10名が加わる。研修メニュー!は、政策課題の研究が中心だが、古典研究
もたっぷり3時間かける。加地さんの「論語」と、大阪大学放授で哲学者の鷲田潤さんの
「ソクラテスの弁明」の2コースある。

論語は思索の宝庫

 それにしても古代から日本の政治家、官僚に影響を与えた来た「論語」が、21世紀に
新たな出番を迎えるとは孔子も苦笑いに混いない。大学の演習スタイルでピシャピシャや
りたい、と意気込む加地さんは言うのだ。 さんは言うのだ。「『論語』の3分の2は
政治に関すること。官僚とは何かを考える思索の宝庫です。でも読んでないでいないで
しょうね。彼らは、知識はあっても知恵がありませんよ」

 「儒学」学の第一人言である加地さんの官服批判はは手厳しい。とりわけ外務官僚に
対しては「退廃の極み」とまで表現する。      

 で、加地先生に、うかがった。いまの外務官僚に贈る、とっておきの「論語」の一節はー。
「子、曰く、奢れば、則ち不遜、倹なれば則ちこなり。其の不遜ならんよりはむすろ固
なれ。」「ぜいたくをすると傲慢になるぶみっちいとかたくなになる。どちらもよくないが、
傲侵よりはみみっちいほうがマシだという意味です。ぜいたくざんまいの外務省なら、
融通がきかなくてもいい。もっとまじめにやってくれと言いたいね」  【鈴木琢磨】