22周年記念第127回ビジネス情報研究会講演要旨、2013年6月24日

  
TPPの日本医療に与える問題点~紐育から考える」
                      
                                    
 廣瀬輝夫
                  
 TPPはEPAとは異なり、参加国は原則として総ての領域に亘り、例外なく総ての
関税および規制を撤廃することを原則としているため、医療、看護、介護、医療
器具、医薬品に対する特別措置として聖域として一切の介入を拒否するか、現行
のこれ等に対する規制を改正し、医師看護師に対する大学教育および国家試験受
験資格に日本語の筆記および口答予備試験の合格を必須とし、特別区域を含む総
ての地域で私的営利保険および施設の医療介護に対する参入と、日本の資格保有
者が保険診療のみ以外には医療看護介護に従事することを禁止しない限り、医療
介護機関の経済的基盤が弱体なので、米国、カナダおよび加入が予告された中国
などの参加国が大幅に医療産業に介入し日本に大きな打撃を与える。

 医薬品、医療機器は欧米企業画既に進出し優勢であるため、衰退を挽回するた
めには現行の価格規制による薬価削減を維持することはこれ等の製造会社が存続
と発展を妨げ国際競争力を喪失するので、産学連携を促進し公的資金と私的企業
および研究費の増大、私的および公的の大学と研究所の職員による企業および企
業会社への関与を許可すると共にと法人税の先進国並みへの減税も行わない限り
再興することは困難である。

 このような政策により特区に対する参加国の進出を阻止することは出来るが、
同時に我が国が必要とする医療産業、殊に診療所、病院、介護施設の建設や医師、
看護師など診療の海外進出お困難とするし、規制改格は国内に於いても賛成を得
られる可能性は少ない。

参加国は総て営利企業のよる私的保険および自由診療を許可しているので、現在
許可されている私的営利保険および営利医療介護機関が、先ず特区に進出し外国
資本の施設の建設により医療診療と介護を開始し、やがては全国で実施すること
を主張するので増勢を阻止することは不可能となり、在留外国人、富裕層、知識
階級、大企業などが参加し国民保険への加入者が減少し国民保険の存続が難しく
なり、日本の医療介護保険制度は完全に破壊されて医療介護費、薬剤費の高騰は
避けることは出来ないし、医薬品および医療機器製造会社の衰退は免れない。 
現在の日本の政治力では聖域の確保やTPP発効以前での規制改正は殆ど不可能と
思われるので、このような危惧が抱かれる。