「 医 療 から 見た 国 際 協力」 廣瀬輝夫       私は、アメリカに50年おりましたが、日本のアメリカ一辺倒の考え方に反対します。アメリカは非常に世界的には評判が悪いのです。私は最近ポーランドに行きましたが、彼らは自力で回復しているのです。援助を受けるというもの結局は借りになるのです。アメリカの態度はヨーロッパでは感謝されていません。「自分だけのためにやっているんだ」という視点で見られています。だから日本がイラクなどに出兵する必要もないと思います。日本独自の考え方でアメリカからまったく切り離したやり方で物事を進める必要があると考えるわけです。 世界の95カ国において極一部でしか近代医療が行われていません。大半の人民は、民族医療を利用しているのです。それは神頼みであったり、生薬に頼ったりしているのです。そのような貧しい人たちは若くして死んでいくときに、少なくとも幸福に死んで行くように、少しでも援助をする必要があります。出来れば救済をすべきです。民族医療では感染症に対する予防は全くできません。南アフリカでは35%、エチオピアでは25%がエイズに感染しているのです。アメリカの製薬会社が儲けることを考えているだけだから、貧しい人たちには十分なワクチンを与えないし、高価な薬や新薬は渡さないのです。われわれはそのような人たちに国際協力をするために、これらを提供していかなければなりません。感染症には民族医療は効かないのですが、生活習慣病や代謝疾患はアフリカの人たちは食事の関係でかからないのです。しかし、アフリカにおいての平均寿命は45歳以下の国々が多いのです。 日本がODAのお金を中国に出資していますが、その資金は中国の名前でアフリカに行っているのです。日本のお金を使って国際協力をしているのが中国なのです。それで、中国は感謝されているが、日本は余り感謝されていません。中国は、医師、看護師、薬剤師等の班を組み治療に当たっていますが、日本が最初、医療班として行った17人も、英語の使えない日本人医師達は、非戦争地区、安全な地域で何もしないで帰ってきているのが現状なのです。日本で国際協力をするのに何をしたら良いのかと言ったら、少量のワクチンを提供しているのは今はアメリカなのですが、その数も少ないので、それを日本が大量に行って持っていくのが一番良いのです。ドイツやフランスなどはアメリカに協力せずに国境なき医師団として国際協力をしているのです。アメリカのやり方で被援助国が必ずしも感謝しているのかといったら決してそうではないという現状です。日本は日本が独自の方法を持って協力していくことが必要であると考えるのです。近代療薬の30%は生薬を使って作られていることを知っていただきたいのですが、生薬の中には効果のあるものが多いです。 医療でどのようにして国際協力をするのかと言ったら、未開の地に行き、幸福な生活を送る手助けをすることの方が良いと考えます。先端医療で一部の人間を助けることよりも、草の根的に入って行き、その地に必要な医療を施していくことが必要です。抗生物質を持って行き、感染症を治療することが何よりも求められているのです。実際の国の状態を見て、それに日本独自の方法でもって援助していくことが重要なのです。未開の国に行き、医療状態を調べてきました。医者がどれ位、いるのか、財政、政府の協力などを調べてみると、政府はほとんど何もしていません。ODAは政府の私腹を肥やすだけで、民衆への貢献度が低いのです。国際的に見ては、70%の貧困層の人間を助けることができていないのです。日本独自の考え方で、民衆の中に入って、ボランティアを送り込んで仕事をすることが重要となるのです。小さい診療所であっても、そこに人を送り、援助をしていくことが本当の医療面から見た国際協力になると考えているのです。日本の国際協力としては、国家としてやらなければならないことは、勿論、日本の国民を第一に救っていかなければならないのですが、少しでも余裕があればこれらの人々に医療をするべきです。 ポーランドでさえ、世界から先天性の心臓疾患でお金のない人たちを集めて手術をして治しており、今までに7万件もしています。そういうことが国際協力であるというのです。先天性疾患や感染症の人たちを日本の医療技術でもって救ってあげることが日本に必要な国際協力であるのです。お金が少しでもあるのであれば、そのような病院を作り、世界の貧しい国の先天性疾患の人たちに手を差し伸べてあげることです。そして、その技術を世界に教えてあげることです。アメリカはいろいろなことをしていますが、恩に着せられ、干渉され、あまり感謝されていないのが現状なのです。日本は日本の独自の方法で世界の評判に関係なく、世界に対する貢献が必要であると考えています。 私が推奨しているのは経済的に負担が軽減される統合医療です。リウマチなど非常に高い薬ができて治療にも効くのですが、代替医療でも割合治療ができるのです。しかし、日本のサプリメントの会社は儲け主義なのです。それは医療的根拠にまったく基づいていない薬であったりするのです。代替医療は免疫力を助長するということはできますが、癌などを治癒することはできないのです。これには代替医療は危険であるとも考えます。しかし、貧乏で近代医療ではどうにもできないような病気を抱えた人は民族医療に頼らなければいけないのです。また、病気の70%は精神状態に関係し、ストレスなどでも病気になりやすいのです。これらの心理状態を利用して、信仰などが入る隙間を作るわけです。それらはある程度までは必要なのですが、それを悪用しているので危惧されるのです。日本においてはそれらを排除しなければならないのです。科学的に研究して、薬ができているのであるから、それを信頼しなければならないしことも多いのですが、病は気から来るものもあるので、そういうものには代替医療が良いのです。 質問者 薬局などで薬をもらうのですが、痛み止めが必要なくなったら使わないので、それらを回収して、それらを外国に援助する団体はないのでしょうか? 廣瀬: それはそれらを捨ててもらわないと製薬会社が儲からないからできないのです。代替医療が効くのは鍼灸が痛みには一番よく効くのですが、また、マッサージも良いのです。新しい薬に頼ることは、人によっては効き目が違います。痛みは、70%は精神的なものであり、我慢できる人、できない人もいますが、私は薬のみに頼るということには余り賛成しません。 質問者(石川昭、青山学院大学名誉教授) “知能オリンピック”を提唱いたしました石川です。国際問題に対しては思うことはたくさんあります。知識を出し合って、シナジー効果を設けて世界に対して提言できるようなシンクタンクが育っていたら今日の日本の疲弊した状況は無かったと思っています。 医療は生死にかかわる非常に重要な問題です。医療は人間の奉仕、重要だと思います。世界的に必要な場所にハードとして病院を建てるのか、医者を送るのか、などに対する日本政府の長期計画が見えてきません。 日本において、ボランティア精神を成長させられるような大学が全くありません。日本のボランティア精神が育っていないのが現状です。 日本にはもはや防衛力はありません。無力としかいえません。「なぜにかくも脆弱な日本に、なってしまったのか?」大問題です。 広瀬先生 JMS(医学雑誌)にすでに書いているのですが、日本はアメリカに頼っているからこのようが現状にあるのです。戦争は悪の根源であるから戦争は嫌いですが、日本は外国からの戦争に対して無力なのです。日本は日本で独立した考え方で、アメリカの尻馬に乗って協力する必要性はないと考えているのです。アメリカのやり方が汚いのかということがよくわかっています。 大脇 日本は、自分の弱点を逆手にとって世界平和リーダーシップが取るべきと考えています。私はNPO.NGOの国際的現状を調べてみたのですが、世界の国際機関は総予算の平均20%を、アメリカは国際協力予算の実に43%以上をNGO団体に渡しています。日本は歴史的に「お上が公を、下々は年貢だけ納めて、自分たちのことをしていれば良い」という官尊民卑の長い歴史的伝統の性ではないだろうかと思うのですが? 広瀬先生 日本は「自分達では何かすべきである。自分たちの力で国際協力するのだ。」という気持ちで、政府から予算をもらう権利があるのです。 質問者 先ほど似合った、アフリカなどに言っていらっしゃるのですが、日本人は英語力がなくてコミュニケーションが取れないゆえに活動しきれていないという現状、青年海外協力隊の選ばれる人においても英語力がないのが問題になっていますが、医療だけでなく、英語力をつけることが必要なのではないかと思います。 広瀬先生 そのとおりです。日本の医師達は外国人と議論もできなくて、演壇で立ち往生しているのが現状です。アメリカに行って議論できる人が殆んど居ないのが現状です。語学力が弱い学者が多いのです。中国やインドは語学力があるゆえに、発言力があるのです。日本人は基礎的なものを勉強しなければならないのです。医者になる人たちは一度大学に行って、語学から倫理など、さまざまなものを習得し 大脇 未来構想は「国際社会に貢献することができる人材を日本が育てるためにはどのような教育が必要なのか」考えています。高い志を持つこと、コミュニケーション能力や専門的知識を持つことが必要であると考えられるのです。世界に貢献する人材養成の教育機関創設を模索して行こうではありませんか? 質問者 長年、栄養士として健康管理を行ってきましたが、一番考えるのは予防医学が大事であると思っています。病気の不安に包まれてしまうのではなく、予防医学が重要なのではないかと思います。 広瀬先生 予防医学は非常に重要です。生活習慣病も、日常の生活から来ているわけです。70%の病気が環境から来ているのです。空気、汚染、温暖化などの問題に日本も世界も昔から予防的視点で対処していれば、もっと現状は良かったと思うわけです。日本人が長生きしているのは、戦時、贅沢な食事をしなかったから長生きしているのです。それが予防医学に連なっているのです。予防が一番大切でありますが、その根本が食事なのです。 質問者(一色宏) 私は芸術、文化にかかわっているのですが、経済資本主義で来たものが今、大変な状態にあるわけであります。ある生物学者が「世界が融和するのは何が良いのかと考えたときに、文化・芸術の世界においての融和である。」と提唱しています。人類は本来は兄弟であって、お互いに助け合わなければならないのですから。 まとめ(廣瀬) 私自身が勉強になった時間でしたが、皆さんはよくわかっていると思います。高校は文科でした。また、息子は写真で、芸術家の世界であり、また、友達も芸術方面の人が多くいます。芸術をすることは非常に大切です。芸術の心は医の心にも通じるわけです。  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 小松昭夫先生 時代の潮流 「恒 久 平 和 の 実 現 へ」  先週一週間、韓国に行ってまいりました。1895年、10月8日、明成皇后の暗殺事件がありましたが、今年、11月6日にその暗殺現場の再現ができました。熊本県の神社にはその明成皇后の心臓を刺した刀が奉納されているのです。日本と韓国の歴史を見学するツアーがありまして、それに謝罪に暗殺をした人の子孫が行きました。歴史が政治を動かす、歴史が経済を動かす時代に今はあります。今、豪華客船が世界的に人気でありますが、世界的に経済的豊かになった時代に入ってきましたが、旅行のできる人の増加と、できない人の増加がありますが、日本で三菱のある造船所が唯一豪華客船の造船所がありましたが、そこに火事が起きました。もう作ることをあきらめかけたのですが、先日、もう一度再建することになったと聞きます。島根県においても、石見銀山が世界遺産において2ランクアップしましたが、それは自然を保護しながら、維持しているのです。外国においては多くは禿山になっているのです。「自然環境保護をしながら銀を掘ったということがすごい」と評価されたのです。土地を知っている人は、山陰は雨が多く、弁当を忘れても傘を忘れるなと言われています。故に木々も生い茂る環境があることもまた、追い風になったわけです。 歴史の話をしたいと思います。われわれは日本国民であり、また、人類でもあります。官庁の人たちが自立してください、地域振興、地域活性化してくださいと言っていますが、私は妖しいと考えています。熊、ライオン、狸など哺乳類は自分で立ち、乳をもらって自立します。しかし、人類は未熟児で依存しなければならない宿命です。これを徹底的に利用するのがアメリカであると考えます。それは「人民による人民のための政治」です。それはアメリカの人民による、アメリカ人民のための政治です。そこに日本人は含まれていません。自立ということは論理的に人類は不可能であり、相互依存しかできないのが人類です。論理的にできないことをできるように錯覚させることが、日本中に蔓延しており、健康障害を起こしていると考えています。ここまで社会ができるまで、どれだけの人が戦争で死んでいるのかということを考えて見ますと、本当に多くの人が死んでいます。そのことを考えると、われわれに今一番必要なのは何なのでしょうか。アメリカ、中国、ロシアも多くの問題を抱えて立ち往生しています。戦艦大和はなぜ沈んだのか、それは自分の持っている火薬庫に引火して、沈没したのです。魚雷はそれに少し当たっただけなのです。このことは、核大国は大変な状況にあるということを意味します。内部テロ。幸い日本は非核三原則がありますが、最大の強みが最大の弱みになるときです。  これが時代の転換点になると考えます。これからは加害者が被害国と一緒になっていくことです。北朝鮮の金正日さん、韓国の次期大統領が一緒になっていくこと。それは日本国民、韓国国民、北朝鮮国民とそれらに賛同する人たちで恒久平和を実現することができるのです