TOP

CONTENT

 

第2部 ITは、地域活性化にどう役立つか?

新谷:オールドエコノミーがITを抜きにしてこれからどう展開していくのか。オールドエコノミーの最たるものは行政、中央官庁。日本の地域地域の情報化はどうやっていくのか。

e−Japan構想、森首相から、小泉さんに引き続いている。
1.超高速1千万、高速3千万国民につなげる。
2.ITに強い人材養成。行政にITが分かっている人いない。日本人は論理力が劣ってきた、という認識がある。
3.電子商取引における個人情報保護。電子商取引を育てたい。
4.電子行政を実現する。中央は当然電子化。ローカルガバメントラン、中央と地方をつなぐ。
5.セキュリティの構築。

コメント
 「2003年まで電子自治体に移行せよ」が「2005まで」になった。中央も地域の自治体も一つのネットワークにつながる。その先に住民基本台帳を整備する計画。個人にID配布。3200−3300の自治体がある。やる気のある自治体は支援しますということで、現実は、一部の自治体にしか補助金が行かない。

1)IT化するというのなら、計画し、評価し、公表せよ。
2)ジネスプロセスリエンジニアリングを前提にIT化せよ。ホストコンピューターを前提にした仕組みで従来の業務を実現。
3).自分がやるより安かったら民間にアウトソーシングせよ。以上は民間では当たり前。しかし横須賀市では、自分が定年になるまでシステム変えるなと上司は言ってる。

 自治体、限られた予算内で、@、自治体そのものの電子化、A、地域全体の情報化をやる必要。でも四苦八苦。そんな中、横須賀市や西宮市はよくやっている。ICカードを住民全員が持つというIC都市計画は、民間企業と連携してやったらよいのではないか。自治体は自分たちの情報化は予算をつけてやるが、民間企業の資金を導入して、企業や住民へのサービス部分を作っていく。

 3300のうち2000ぐらいの自治体がホームページを持っているが、そのうちの99−98%は1度いったら2度と行かないもの。何のために自治体が地域のHPを作るのか。ポータルサイトを作ってもビジネスにはならない。ポータルサイトを民間の事業として、行政からお金を貰いながらやっていくビジネスモデルとはどのようなものか。

 IT人材を育てながらシステムをつけるやり方はないか。民と官から人を出して一つのポータルサイトを構築。できあがった時には人材もできている。IT投資は初期投資の1/3が保守費用として必要。

インキュベーターという施設がある。岐阜のソフトピアなどサイエンスパークからベンチャー出てない。落下傘型ではできない。

e−Japanで基盤、ガイドラインはできるが、コンテンツビジネスがどうできるかどうかは問題。

伊地知:日米経済の差がある。原因はITの活用度の違い。中小企業の経営者は丼勘定、啓蒙の必要。IT、バイオテクは21世紀の根幹的なもの。人間の神経系的なものが世界や国家を結び迅速に伝播する。現状;地域地域により差がある。IT系のビジネス;農業県のIT化。中核産業となるのは難しい。20世紀、21世紀とビジネスモデル変化。金中心から人中心へ。営利企業は20世紀型。NPOは公益性の高い事業。NPOが主流になる。それもプロフィッタブルNPOであるべき。営利企業が中心の社会から、NPOが中心の社会へ。

小野瀬:地域格差;ITCで言えば、東京のITコーディネーターは現在約500人。人数が多すぎる。東北六県で指導啓蒙開始したところ。

新谷:これからのビジネスモデルはNPOが基本となる。その時、ITコーディネーターのスキルを今一歩進めた人が中心になっていくのでは。埼玉あさひ銀行、ネットワークが始まりと地場企業がネットワークを使って協業しようという動き。

中野:ITには否定的。いま企業は静か。IT is heart! 昔、電話で大声でやっていた。e−Japan、活性化につながるものは感じられない。ITに頼るから日本の企業は駄目になった。

2003年4月7日、鉄腕アトム、 日本はものづくりの基本に帰る。「もうかりまっか」というリアルの勢い大切。ITと違うところに、日本式の良いハートのあるIT戦略ができるのでは。

新谷:住民が自治体に何を望んでいるか。大和市はコミュニティを作っている。都市計画を載せていて、50万人が見ている。コスモスがすわっているのはおかしいとか言ってる。インターネットは人類歴史上にできた神経。

大脇:人間は幸せになりたい。ITはそのための手段、道具。エゼキエル書37章に"死の谷の予言"があるが、まさに今、バラバラで死せる地球全体が命を吹き入れられ、急速に有機的繋がりを取り戻し、再生の真っ最中のような感じだ。

中川:ソフトピアは岐阜県の中で浮き上がっている。40代の部長補佐はパソコンが使えずノイローゼ。やらなくていい、部下にやらせよと言った。宮崎県へ380億円のIT化の予算を出す。光ファイバーを導入して、農家の情報網を構築しようとしているが、矛盾多い。2/3のソフト会社が破産している。大きな商売は直接会って、目と目で交渉している。Face to Face。日本でITビジネスが関わるのは、せいぜい1/3ぐらいではないか。選別してやる必要。Be to Cは難しい。

中野:パソコンが売れる一方で、モンブランの高級万年筆が売れている。古典も読まれ始めている。Face to Face が新鮮になっている。

新谷:インターネットはFaxや電話の延長。便利なツール。B to Bで大成功した企業がある。初めは電子自動販売機で大失敗。一方、ネットで客を掴んだ所でうまくいっている。ネット上の靴屋など。「情報を頂けましたら、お宅に合う靴を私が選んで差し上げます」、というサービスが当たっている。行政サービス、かゆいところに手が届くようにやってない。役人は地域を回ってご用聞きをして欲しい。

伊地知:IT発達、電子メールでコミュニティができている。それにより人に会うときの喜びが増える。ビジネスのやり方が変革される。旅館が画期的に変わった。ホームページで空室公開して、平均的に埋まり回転率も上がった。また料理、米などの調達面でのコストが下がった。

中川:実物を見なければ分からないものもある。ITは商売の手段。アメリカはインターネットを金儲けのために使っている。スピード、合理性はあるが、知性にどう影響があるのか。要は金儲けの手段ではないか。

新谷:確かに効率化の手段ではあるが、民間企業にとって経営資源が得られる。お客という経営資源。インターネットのコミュニティーからお客のニーズが出てくる。また夜中の救急病院を探すことなど利用価値が大きい。

中野:情報が先に入ってくると先入観が出来て、感動が少なくなる、これはマイナス面。多くの人の反応を収集できるのはプラス面。

大脇:ITは商売のための道具。また幸せになるための道具でもある。今は予算をハードに使って業者が儲かっている。1/3をハード、2/3は文化面をどう高めるかに使うべき。

ミッテランの「国を救うのは文化だ!」との叫びにあるように科学技術信仰から脱皮すべき。

中川:全国一律に予算を出すから、ブロードバンドを引けというのは問題。地域地域で違いがあるべき。お金を取るために何でもよいから申請する。これが良くない。

大脇:日本は文化振興のために金を使わない。米国は巨大な軍事予算が大学に投下され、創造性のある科学技術を生み出しているという面がある。

中川:巨大ビジネスのウォルマートやカルフーンはリアルビジネス。バーチャルとリアルとを識別し、そのハーモニーこそ必要。

新谷:単年度予算、箱物行政、この二つを解決しないとサービスとコンテンツが生まれてくることにはならない。縦割り主義、自分の省庁の利益優先が壁になっている。

中川:役所は一人一人にパソコンを与えてそれで情報化は出来たと、終わりにしている。情報を収集し分析するということをしていない。

中野:これこそ(未来戦略構想フォーラム)シンクタンク!!20年前から研究しているというが、こんなところにこそ予算をつけるべき。仕事につながるものにつけるべき。企業には入るとしても、公務員になるのは面白くない。会社に入って、こういうところに入って、集まって何か仕事を作り出す。若者に夢を与えるような、箱物でないビジョンで儲ける。儲けた金は還元する。

大脇:本当のシンクタンクは良いビルではない、人の集まりである。イギリスの国際戦略研究所は古ぼけたビルにあるが、すごいのは人脈ネットワーク。このフォーラムは今回で3回目。実際に日本を変えなくてはいけないという思いでやってる。その国が良くなるには人が先に行く必要があるし、その前に志が必要。70年代、80年代、自民党政府に政策を提言した。人脈ネットワークがあった。あるホテルで会合。その場でどこでも得られない情報を得られるので人が来ていた。先端の人物に20分間問題提起してもらって始めていた。まとめる人が必要。知識は整理して構築する必要がある。10年間続いた。党が期待していたのは、データに強い官僚を超えた歴史的見通し、学際性、トータルな視点。価値観、歴史観、世界観、一言で言えば哲学、思想、である。政治家も党派を超えてやって来た。

中川:アメリカは1986年から競合情報の研究を始めた。アメリカ、フランス、スウェーデンには情報戦争学校がある。日本人や韓国人は入れない。その一環としてエシュロンがある。CIAのOBが入っている。日本は情報ばかり集めて、分析していないから、問題にもされない。ボストンにある競合情報学院、主催者はモサドやCIAの局長。企業の企画部門、調査部門、戦略部門の役員を集めて特訓している。ピッツバーグ大学にも競合情報大学院。競争相手の国の情報を如何に取るか。

大脇:イスラエルは敵に囲まれながら存在している。テロに合いながらも楽観的。なぜか? "情報"である。イスラエルは敵国に優秀なスパイを入れ、体を張って国を守っている。日本が負けたのは、ゾルゲ、尾崎のせい。ベトナム戦争に米国が負けたのも情報戦。イスラエルの兵士は入隊の時、国を無きた原点、マサダ要塞で、銃をもらう。二度と国を無くすことがないように国防の決意を固める。

中川:モサドの情報力はすごい。ワールドセンターの情報もとっていた。日本はデータはあってもそれを分析するインテリジェンスなし。産業創発の戦略はあっても、国家安全保障の戦略が無い。

大脇:報道されないが、インドネシアの海峡に海賊が出る。通行税を海賊に3、40万払っている。日本の生命線なのに、国の安全をどれほど真剣に考えているか。

中野:1982年、バクダッドにいたが、イラクの核疑惑があるときにイスラエルが攻撃した。その攻撃がなければ、その8年後湾岸戦争が始まった時、サダムフセインは核を持っていた可能性があった。

中川:日本の教育と情報、惨憺たるもの。国家戦略を立てられない。

米田:1961年から日立で国産のコンピュータを作ることに初めから関わってきた。36年間その世界でやってきた。コンピュターによる社会の変化を直に体験してきた。テクノロジーのレベルが上がるにつれ、社会も変わってきた。パソコン、インターネットによる革命は大革命であり、それまでの延長線上では考えることはできない。15年前、最先端にいて,このままでは機械に振り回されて人間が駄目になると思った。未来はどうあるべきなのか、人間のあり方を研究してきた。情報の発信者と受信者が如何に繋がるか。今までは何段階にも組織化され、マネジメントされ加工されている。それは、日立、東芝、富士通といった会社も同じ、一つのイデオロギーである。ところが現代社会は違う。イデオロギーが成り立たない。一気にそれが崩れた。これからは日本がいかに世界に貢献できるか。工業化社会は終わった。これからは感性の時代。直に発信できる。問題はあるが、大きく考え、大きく発信して世界を変える。日本から世界に向けて文化を発信していくことが重要だ。

二宮:ハングリー精神、目標が必要。

伊地知:本当の経営者が小学校しか出ていなかったりする。世界を変えるようなリーダーは、教育では生まれないのではないか。自然の中から生まれて、知識を入れた人間と違う感じがする。

中川:ノーベル賞記念セミナーで利根川さんが言ってたが、ノーベル賞をもらうような創造的な人が出るためには、真似する人がいることが必要とのこと。真似ることから始まる。後は環境、ハングリー精神、個性を認めてくれる先生。尊敬できる先生。

小野瀬:真似た人を越えるとその人の独創になる。

中川:最初は真似る相手は親でもよい。

大脇:松下幸之助の言葉(市川氏のまとめたもの)に

@志を持ち続けること、A衆知を集める、B人を生かす、あるいは、@流れを見抜く、A創意工夫、B使命感を持つ、一所懸命、発想の転換、失敗を恐れない。

伊地知:アメリカは失敗を認める。日本は失敗を認めない。

大脇:官僚は新しいことにはNOという。それは失敗したら責任をとらされるから。

中川:「学ぶ」は「真似る」からきた。

大脇:松下幸之助は、「失敗を失敗と考えない、それは成功への一過程であると考えれば、勇気がわき、心もくじけない。成功とは成功するまで続けることである」、と言っている。

米田:コンピューターの導入によって、画一教育をやめて、創造性の開発、個性化が進むのではないか。学校の先生は子供を集めて一通りのことしか教えていない。その子が何に優れているのか、持てる天性を発揮して貰うようになっていない。一人一人の多様な個性に対応し、それを伸ばすにはコンピューターが良いのではないか。

中川:かえって画一化されないのか

米田:日本がピラミッド社会だからそうなる。

新谷:データや知識を相手に伝えるという面ではITは得意。メールでは一気に流せる。それはコンピューターの得意。その対局にある知恵というものは、人間でないと伝えられない。

米田:もっとコンテンツが進めば、人間の創造性をサポートできる。感性を如何に表現するか。

新谷:暗黙知から形式知へ。どういう所までコンピューターでやれるか。

中川:巧みの技、暗黙知など伝承できない。

新谷:パン屋さんが生地にさわって、発酵のタイミングを測るといったようなこと。

中川:そこを大切にしないといけない。最後は直感。だから分析と直感、感性。ノーベル賞も最後は直感である。

伊地知:ソ連はなくなった。アメリカもなくなるだろう。資本主義は人本主義になる。

中川:金儲け主義ではだめ、人間を中に入れないと。

大脇:計画経済から自由主義経済、そしてボランティア経済、今日出席の中野有さんも、「官・民から公へ」の論文を書いている。

竹林:共産主義が滅んだ後、アメリカのユーラシア戦略に脅威を感じる。対中戦略、ソ連を取り込み、今回の事件でベラルーシ、タジキスタンを取り込んだ。アラブ、イスラエル、ソ連包囲網ができた。アメリカの戦略が平和戦略であればよいが、功利主義であれば懸念が多い。資本主義の欲望になれば問題。企業理念の価値観がどうなのか。事実前提から価値前提に基づく戦略をやってきたが、企業がどういう価値理念を持っているか。人類共通の価値観である必要。価値前提の価値とは何か。儲け主義か。利益をどうするのか。トヨタの理念、単に車を売る企業ではない。価値理念の再構築必要。このためにやっているという価値観を末端まで浸透させる。ITの中にこうあるべきという価値観が必要。

大脇:文化の時代。手足の時代から頭脳の時代、そして心の時代。先日も「脳と心の研究会」をやった。全国から有名な医者が詰めかけ、朝から晩まで宗教・哲学議論をやっているのが印象的だった。人間は見えない世界、心の世界、心情文化世界で生きている。

中川:トルコが21世紀の問題地域になる。

米田:文明の転換期。アメリカ一色のグローバルスタンダード。日本はそうなってはいけない。ソ連が崩壊した。アメリカも崩壊するだろう。宇宙の原理がそうなっている。別のものに変わる。それは友愛主義であり、日本発となる。アメリカの戦略は衰える。平和をもたらす環境はできつつある。

竹林:日本の戦後の問題は教育。伝統的精神を見直す必要がある。アメリカ的民主主義により伝統的精神が失われた。本当の文化を発信するシステムを作れるか。そのための政治力はあるか。

中川:日本は武力で敗れた。金融で敗れた。情報で敗れた。日本人に戦略なし。

中野:旧満州をどうするか。多様性を重んじるコミュニティーを作るべき。9.11以降、アメリカは聞く耳を持ってきた。アジアを生かす国際機関を作るべき。東アジアに金融資産が半分ある。単なる経済圏ではなく、共生圏。そういう動きが出てきた。日本発のアジア的な何か。北東アジア開発銀行を作るべき。(添付の英文参照)

竹林:それは大東亜共栄圏、アメリカが認めるようになるか。

中野:なる。国務省、パウエルは穏健。

竹林:国防軍の戦略との力関係。国務省はよいが、国防軍はどうか。

中川:ブッシュは石油資本、それは軍事資本。パウエルもそれにはかなわない。その戦略の裏には軍事産業と石油がバックにある。

竹林:理念的にはパウエルに頑張ってほしい。そのような中で日本がどちらに転ぶか。

大脇:日本のことに立ち返って、今の日本の問題は、何のための構造改革か、また日本のことしか考えていない。いかに世界のためになるか。人間は、自分のためより、人のためというのが力が出る。

 1983年の政府への政策提言。「文明史的に見て日本の役割は重大である。今日まで歴史を主導してきた欧米は、失業や青少年の問題で脆弱性を現している。日本は持てる経済力、技術力、開発力、マンパワーをバーゲニングパワーとして、世界平和の環境づくりに積極的に貢献し、リーダーシップを発揮するように努力すべきである。先進国に対しては産業協力を持って経済活性化に協力し、途上国に対しては、人づくりのよる国づくりに貢献することである。このことは我が国の安全保障に不可欠である。活力ある社会の創造に向けて、行政改革を断行する。」………。

 要するに従来は日本のための日本から世界のために日本へと認識を改め、それにふさわしい国内外の施策を講ずることが今日の日本の課題となっている。これには次の4点が指摘される。

 まず第1に80年代を21世紀への準備と位置づけ国際的視野と将来的展望に基づいて10年ぐらいの長期総合計画を立案することであり、与野党の官僚や行政官のコンセンサスを作り、その目標をもとに結集する道を開いて国民に大胆な構想や雄大な夢を与える計画を掲げて頂きたい。

 第2に総理のリーダーシップが要求されている。歴代の総理はコンセンサスを重視してきたが、戦後史の大改革という課題を担う現内閣においては、総理の強力なリーダーシップなくしてはその実行は不可能である。ここにも政治的決断と実行を望む。

 第3は国民の理解と支持をいかに取り付けるかである。行政、防衛など重要政策の実現のために総理を初め主要な閣僚がテレビを通じて訴えること。また学者・言論人を積極的に登用し、健全な世論を形成することが重要である。

 第4は貿易摩擦や防衛問題に関して、誤解を招くことのないよう、欧米やアジア近隣諸国を重視することで、特に日本が自由圏と競争に立脚していることを理解することが必要である」

 最後に感動的な話をお伝えし本会を終わる。(「エルトゥールル号の遭難」添付)