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第一部、日本の国家戦略からみた教育問題

加藤幸彦 NNH社長、産業能率大、講師
 教育問題は大切。原点になるのは幼児や低学年の教育であり、そこをちゃんとすれば、後はほっといても大丈夫。戦後問題なのは小学校の先生のレベルが落ちたこと。肝心の価値観、何が一番大切なものであるかという物差し、原点がなくなった。世界的に小学校の先生より、大学の先生が偉いということになっている。しかし、医者は成人病の医者でも、小児科の医者でも同じ。教育の場だけ、小学校の先生と大学教授では、給料が違っている。おおざっぱにいえば、人材が乏しい、大学より人材が劣っている。

大脇 国際文化研究所所長: 宗教教育をどうするのか。戦後、宗教と教育が分離され、教育勅語が禁止された。

加藤: フィロソフィがなくなった。経済の場合も政治の場合もフィロソフィが大事。科学、社会学から上がっていった最高学位がPHD。日本の文化とは元々違う。土台を考える必要。

大脇: 価値観をどう形成するか。

阿部 日本国家戦略研究所 専務、イスラエルNGO
 先日イスラエルのチーフラバイを日本に招く機会があった。日本では経済が大変だといってるが、イスラエルでは毎日血が流れている。それに比べれば、贅沢な悩みだといわれた。経済中心でない、人間はどう生きるべきか、人間いかに生きるべきか、という観点から教育を見直すべき。人間いかにしてら幸福になれるか、そういう教育が大事。

大脇: イスラエルに行ったとき一つ前のバスが爆発した。イスラエルでは挨拶に「シャロームシャローム」と言う、これは「平和を」という意味。日本では「天気」、韓国では「飯を食ったか」、その国で一番切実なものが、挨拶になっている。日本人は「安全と水は只だ」と思っている。日本の安全はアメリカ、自衛隊に任せてしまって、日本を守ろうという青年がいない。未だ世界には、徴兵制の国が多い。

阿部: 人間はどうあるべきかというのを教えるのが教育の中心問題。日本の近代の成り立ち、東大の成り立ちに問題がある。

大脇: MBA制度導入の会議があったが、MBAによってどういう経営者を作ろうとしているのか、哲学、トータルビジョンが日本には欠けていると感じた。どういう人間を作ろうとしているか、今、日本に欠けている。

加藤: 日本の教育というのは、問題を与えてそれを解かせることばかりしている。小学校から大学までそうしている。ハーバードでは、問題を作ることを教えている。問題にしてしまえば誰かが解く。問題は複雑なままでは、解きようがない。要点をとらえて簡単な問題に作る必要。日本ではやっていない。ハーバードでやっていることは問題づくり。先生は何も教えてくれない。問題を解く技術屋ばかり育てている。問題を作るのが社長であったりする。スイスでは日本の攻勢で時計業界がつぶれそうになっている、それに対してどう体策を立てるかといった問題づくり。

新谷創発戦略研究センター所所長: そこは日本と決定的に違う。"公文式"が世界に広がっている、これは無視できない。論理的な思考が崩れると想像力も崩れる。下の所の力があった国が、上の所も崩れている。

加藤: ORではいろんな分野の専門家が集まって仕事を行う。その時、数学が共通の言葉になる。これは非常に便利。知識ではなくアプローチの問題。同じ工場を造るという問題に関して、それぞれの専門家のアプローチの仕方が違う。日本の場合はほとんどの人が何でも屋。オリンピックのフィギュアスケートでもカウンセラー、医学、ミュージック、スタイル、専門が付いている。日本はかなわない。いろんな専門家がいる。大学の講師になるにも発声の科目は必須になっている。役に立つのは基礎理論。ノウハウは条件が違えば役に立たない

大脇: ナショナルゴール研究でやった30年前の日本の教育の問題点を列挙する。 時代的要請に合致していない。文教行政に問題がある。人間形成の方向が明確でない。教員の資質に問題がある。技術の充実が重要。詰め込み教育に偏向している。外国語教育の不徹底。外国語に関して言えば、学校の語学教育は役に立たない。語学の指導方法をしらない先生が勝手に指導している。近隣諸国の語学的指導が不十分である。 今もほとんどこの問題は置き去りにされている。価値観、人間形成、語学教育などに国策がない。今日まで何も変わらず、満足している。危機感がない。

富永: 200名の教師の前で英語で挨拶し、それを訳してほしいと言ったところ、誰もを挙げなかった。英語は早くから学んだ方がよいと言うが、私は大学2年の時から始めた。日本は経済大国なのに英語が分からない。

日本の英語教育を根本的に改革したい。今の国会議員は、英語と縁がない。中国語や韓国語を英語をやる前に第2外国語に入れてほしい。

阿部: 私は英語圏に15年いた。欧米から日本を見ると、日本人は恥ずかしがり屋で、英語ができないのは能力の問題ではないような気がする。

二宮社長: 外国を理解しないと理解できない。話すと近い関係になれる。

大脇日本人は自然の法則に逆らっている。子供は聞いて話し、それから頭に入るのに、逆に暗記から始まるので抵抗が大きくなる。

阿部: 間違いを恐れないことが大切。

加藤: 欧米では学生が分かってないのに手を挙げたりする。ハーバードは一クラスに23カ国の学生がいる。日本人はしゃべるのは駄目でも読み書きはいいというが、読み書きでもかなわない。辞書が悪い。偉い先生がやるとその通りにやる。昔の高等学校では入学すると新入生に先輩が漢詩を書いてくれたが、今そのようなことは誰もできない。

河端:芝浦工大名誉教授(西洋哲学): 半世紀、教室で学生を教えてきたが、読み書きできても会話は駄目。英語ができなければ人間扱いしない。明治維新で日本は欧米に学んで人づくりをした。中国がのびているが本当にそうか。日本に留学して、結婚相手を呼び、カナダに移住している。人を育てていない。

加藤: 抵抗勢力がない。ティチャーズスクールなども官僚に反対される。教育委員会も官僚が任命する。批判すると首になるので、追従するようになる。

大脇:審議委員会なども、建前だけで実際は、官僚が決めている。

加藤:乱暴な言い方だが、幼稚園から始める。各分野で成功されたOBを先生にしたデラックスな幼稚園を作る必要がある。

小野瀬: 日本は島国。大陸に対して島国。海がある。英語教育にはコミュニケーションが必要。そのための環境、異文化コミュニケーションが必要。文化を学ぶ、文化に対してもう一歩踏み込む。ニューヨーク、ロンドンに比べ東京は外国人旅行者が少ない。

大脇:大学生など、ボランティアで外国に行くようにすればいい。

阿部:英語を第2公用語として提案してもよいが、日本語の世界化も考えるべき。日本語圏会議などやったらいい。日本文化紹介の予算が少ない。国家目標として金をかけるべき。

小林:外国へ行って英語をしゃべると日本のことを聞かれる。日本の文化、日本のことを教えるべき。英語で伝える中身が必要。

阿部: 日本文化も必要、発信するためにも必要。

小石川: 会長外国人女性は日本の男性に興味があるが日本人男性は自信がない。

大脇: 明治以来の富国強兵が変わっていない。欧米への劣等感と中国・韓国に対する優越感。偉大な指導者が出て引っ張る必要がある。

小林:教育基本法が個人の尊重、平和主義を植え付けて愛国心を抜いた。正しい国家観を身につける必要がある。

阿部国家戦略研究所所長: イスラエルでは小学生から英語をやっている。

富永: 英語教師がつまらない。教え方が問題、楽しくやるべき。

加藤: 数学の教師にしても教え方がしろうと。微分積分にしても偉い先生によって教え方が決められている。

富永: 先生と学生との間にギャップがある。学生のレベルまで下がって教えるべき。