S2)「戦後民主主義教育の終焉;新しい教育の構想」
                   鈴木博雄氏 筑波大学名誉教授

司会:総理大臣のリーダーシップ。母親教育の重要性。
 お体がすぐれないなかで、今日は先生のメッセージを伺える貴重なチャンスである。

鈴木:さまざまな社会現象に接して、だんだん悲観的な見方が強くなってきた。
私は教育を改革するのに少なくとも10年はかかると見ている。10歳の子ども
が20歳になるぐらいがんばったら、少し期待できるなと思う。私は20年前に、
これが教育を変える最後のチャンスだと主張した。しかし、日本の国の教育はまっ
たく変わらなかった。

年をとってきたので、未来を変えるというより、自分が生きてきた100年はいっ
たい何だったんだろうと考えるようになって来ました。はっきりと申し上げます
と、民主主義というものは根付くものなのか? 歴史的にみて、戦前には選挙政
治があった。戦後50年、民主主義は根付いてますか?

民主主義の制度は根付いていると思うが、与えられた原理を上手く用いていない。
民主主義は、はじめからその是非を議論しないで、これは良いものだとやってき
た。数だけの民主主義ではない。正しいものであれば、いずれ多数派にかわって
くるというのが民主主義の醍醐味のはず。

それに対して実際はどうだったのか? 日本の国が発展した時期、明治から。昭
和20年から無我夢中で発展してきた。日本というのはリーダーがいいときに発
展した。リーダーがいいときに、日本の国全体が活力がある。

日本の国というのは、下のものがわあわあといってもりあげているんじゃなくて、
リーダーが全体をまとめた方が、日本式にあっているのではないかと思う。

日本は、米国的な民主主義より、むしろイギリス式の民主主義の方があう。今、
指導者がいないことが問題。言論というもの。明治30年ごろ。総理大臣、明治
天皇。言論ではなくて、元勲が体現する。明治30年にはじまった。黒田、山縣
まで元勲の役割をしてきた。順々に総理大臣をつとめた。政党政治が発達してき
て、日本の総理大臣にふさわしいかどうか?