概要と活動報告
ビジョン21世紀の会
 
趣意書

 
あと15年間で21世紀の時代がまいります。現在の日本の自由と平和と繁栄を保持し、
その伝統ある文化と高き道義を21世紀の子々孫々にまで伝え、さらには世界の自由と
平和と繁栄ならびに文化道義の向上のために貢献することは、私どもの当然の義務で
あります。とりわけ今後の10年間が、日本にとってまさに正念場であり、アジアと
世界から信頼され尊敬される日本の国づくりを進めていく必要があります。そのためには、
歴史・文明の潮流を見極め、世界的視野にたった21世紀のビジョンを明確にし、かつ
それを実現するための理論と行動のあり方を示して、国民的規模にまで拡大すべきであり
ましょう。
 今日、繁栄の陰で数々の新しい難問に直面しており、また戦後40年もの間先送りして
きた障害は、未解決のまま山積しています。新局面を迎えた日米経済摩擦や、ソ連からの
軍事的脅威と謀略的平和攻勢の増大、さらには家庭崩壊や青少年非行などの社会問題の
激増等、これらはほんの一例にすぎません。
 しかも、一部のマスコミは、本来自由主義の砦となり真実と公正な報道によって国民を
正しく導くべきであるのに、いたずらに商業主義に走り、また反米親ソの姿勢をとり続けて
います。そのため国民は、日本の将来を観るに必要な正しい情報に接することができなく
なっています。日露戦勝を繁栄の絶頂とし、その未熟さと奢りのゆえに転落・崩壊の過程を
たどった1945年の大敗戦に至るまでの40年の歴史は、貴重な教訓を示唆しています。
この史実を踏まえ、将来を展望するとき、戦後40年を経て物的繁栄を獲得した今日ほど、
正確な問題把握と冷静な判断、そして勇気ある実行とが必要とされている時期はないと考え
ます。
 私どもは、これまで「80年代ビジョンの会」(昭和55年7月発足)を運営してきまし
たが、80年代後半を迎えたことを好機に、名称を「ビジョン21世紀の会」と改め、一層の
発展を期することに致しました。今後とも各界有識者各位の皆さまの暖かいご理解とご協力を
心からお願い申し上げる次第です。
昭和60年(1985)12月
         ビジョン21世紀の会
         代表世話人 岩佐凱実 林修三 福田信之


@ 「米国の大統領選挙と対アジア政策」(4月)
A 「朝鮮半島をめぐる国際情勢」(5月)
B 教育改革の総括「21世紀に向かう教育改革の提言」(8月)
C 「レーガン政権の対ソ軍縮交渉政策」(10月:P・F・スター米国軍縮大使)
D 「60年度予算編成への提言」(12月)
E 「85年の展望―戦後40年からの転換」(1月)
F 「SDIとは何かーその政治的・戦略的効果を探る」(2月)
G 「中国の近況ならびに米中ソの新展開」(3月)他

○昭和60年度(1985年4月〜)
 80年代半ばにさしかかり、名称を「ビジョン21世紀の会」と改めて、
 21世紀の視点から政策研究を取り組んだ。
 対外的には、新たな飛躍が願われる日米関係や、アジアの一員として朝鮮半島・中国・
 フィリッピンの動向を分析し、アジアにおける日本の責任と役割 について重点的に
 討議した。また国内問題では、臨教審への提言や、ここ一年急速に全国的に広がった
 非核都市宣言運動、さらには防衛費「GNP1%枠」 問題をとりあげて、正論を展開した。

@ 「臨教審に欠けたるもの?」(4月)
A 「非核宣言運動の実態とその分析」(8月)
B 「南北対話と北朝鮮の動向」(9月)
C 「最近のフィリッピン情勢と日本の対応」(10月)
D 「日米議員外交と経済摩擦の今後の展望」(11月)
E 「80年代後期に臨む日本の進路と国際的責任」(12月)
F 「アジア・太平洋地域における日本の役割」(1月)他

昭和61年の主な研究活動 (86.1〜現在)

● 1月24日「アジア・太平洋地域における日本の役割」
  発題者:市村真一(京都大学教授)

● 2月21日「テロ活動と我が国の危機管理」
  発題者:法眼晋作(国策研究会理事長・外務省顧問)

● 3月22日「定数是正問題と解散権」
  発題者:小林昭三(早稲田大学)

◎ 4月17日「円高問題とその対策」
  発題者:紅林茂夫(国際経済研究センター理事長)

● 4月25日「日ソ間の政治・経済問題―ゴルバチョフの対日政策の意図」
  発題者:西山建彦(外務省欧亜局長)

● 5月17日「86年政治決戦に臨む」(『「自民党への緊急提言』」)

● 6月27日「中曽根内閣の評価と今後の展望」
  発題者:屋山太郎(時事通信社解説委員)

● 7月31日「今後の日本の政治課題」
  発題者:芳賀綾(東京工業大学教授)

● 9月19日「ゴルバチョフの対外戦略は変化したか」
  発題者:新井弘一(外務省情報調査局長)

◎ 10月7日「教科書問題の本質と我が国の対応」
  発題者:本城靖久(評論家・立教大学講師)

● 11月21日「チェリノブイリ原発事故がソ連に与える影響」
  発題者:佐々木寿康(科学技術庁原子力安全局長)

● 12月18日「スパイ防止法の必要性と正当性」
  (注 ●は定例研究会、○は特別研究会)
 
                     以上