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ユビキタス社会の到来〜挑戦と応戦〜

「ユビキタス社会の到来で何が変るか?」
「100万円の着物を売るサイトの衝撃」杉山勝行氏 鰍hGTVテクノロジー

 インターネットテクノロジー室長として活躍。今、27冊目の本がでた。「出世する男はデータベースをこき使う」等100万円きものビジネスの成功者 ネットビジネスの光と陰

 データベースの本を10冊だした。インターネットマーケティングも7冊でた。

 2003年、インターネットがビジネスに対して、どのように利用できるのか明確になった。

 事例としては、着物の販売をしていて、100万円の着物を売っているという実績をもっている「きもの人」というサイトをケーススタディとして取りあげてみたい。

 「きもの人」はネットをどのように効果的に使えるのかを知ったり、ネットビジネスの本質を捉えるにあたり注目すべきサイトである。

 お手元の資料を見てもらうと、ネットビジネスで売り上げランキングが載っています。

 第1位の「エキシング」という会社が、昨年、一昨年とナンバー1をとっている。

 着メロの会社ですね。通販関係も強い。特に高額商品に対して、大きな力を発揮しています。

 また、12位と14位に書店が入っているというのも注目すべき点。これが本を売るのにネットビジネスが優れている点です。書店に関しては後ほど改めて触れます。

 「きもの人」は創立3年目で3000万円を売り上げました。

 このサイトが成功した要素を見てみましょう。

 一つはメールマガジンですね。初心者用、中級者用、上級者用と3種類発行していて、各々対応できるようになっています。たいがいメルマガは、初級者用のレベルに設定して上級者が満足できなかったり、上級者用のレベルに設定して初心者がついていけないことがある。しかし、こうして3種類のメルマガを発行することで、あらゆる層に個別に満足いくようにできるわけです。サイトとメルマガで着物に関するありとあらゆる情報がのっています。

 もう一つは日記です。「女将の日記」といって、毎日更新されています。この日記には、女将さんの女性らしい繊細な感性や一方で骨のある生き様、家族とのやりとりがリアルに伝わってきて、固定ファンが結構多い。そして彼らは毎日見に来るわけです。毎日見に来る間に、だんだん信頼を獲得して、ついに着物を買うときも、高級百貨店ではなく、この小さな有限会社のサイトから買うようになるわけです。100万円の買い物までしてしまうのです。日記というのもたいへん効果があるんだな、とこのサイトから分かりました。

 また、男性には分かりにくい部分ですが、着物は実に奥が深い。小物のバリエーションとか色とか素材とか

 いろいろあるわけです。それらの専門的なところも、こと細やかにアドバイスをマンツーマンできています。そうして商売を成功させている。

 世の中には釣りとか、車とかいろいろな趣味をもっている人がいますが、着物に関して関心のある人にとってはこのサイトはたまらない魅力をもっているのです。そのようにその特定のカテゴリーに対して、NO1だというものがなければ、これからネット業界で成功するのは難しいと思います。何かに関してはあそこに行けばすべて分かる、というものがないとダメ。「きもの人」に関していえば、女性の着物に絞っていたということが成功のポイントだといえましょう。

 今、ネットビジネスの世界で、見逃せないと思っているのは、アマゾンとグーグルです。

巨大なビジネスに発展していくと思います。

 グーグルの担当社員と話をして驚いたことは、HPにはアドバンズ広告がありますけど、その優先順位はクリックされた回数だというのです。入札制でお金をつめば上位に来るかといえばそうではない。

すなわち、有用な情報を与えたかどうかがポイントであって、お金を出したからというわけではないというのが、今までのテレビや雑誌等のCMとは違った概念だといえましょう。

 また、アマゾンに代表される書籍ですが、米国でアマゾンは最もよく利用されるサイトの一つです。日本でも紀伊国屋は48億円、ネットで儲けています。書籍に関しては、データベースがとても重要な位置を占めるというのが大きいのだと思います。書店の場合は年間5万種類もの刊行物がでてくるわけです。他の業界では5万点もでるところはないでしょう。サイトビジネスが成功しているゆえんです。もちろん、他にもカスタマーレビューなんていう読者の率直な書評がのっていたり、この本を買った人はこんな本も読んでいます、なんて関連して売るのもネット販売の強みですね。

 「サイバージャーナリズム」という本をとても興味深く読みました。

今、話題になっているのは、コンピュータに関する本のライターが食う道がなくなっているという点です。

「インターネットハンドブック」なんていう日経に広告まで出している本も初版は1500部にすぎないんです。今、初版で、6000〜8000、ましてや1万点なんていうのは夢ですね。過去の頃と比べると半分以下ですよ。

 雑誌を読む時間は横ばいだが、TVを見る時間は減っているといいます。その分はどこにいっているか?

それがネットだというのです。ネットだとすぐ見れるので、わざわざ紙にする必要はないんじゃないのということになります。だから、実際問題、本が売れなくなっています。まあこれから売れる本は、話題性があり、かつ深みがあるものに限られて来るのかも知れません。

 化粧品に関するアットマーク・コスメというサイトがあります。これなど書き込み件数が実に300万ですよ。消費者の声を集めて、それで、商品企画をするという事例もでてきました。そうして時計が売り出されたこともあります。

 30万円の新商品が30分で売り切れた例もあります。

ソニーのアイボがそれです。アイボはマーケティングリサーチをしてまわったら、出たか?というとそうではないような気がします。

 それは、アイボ=ロボットのペットが全く新しい価値観だったからです。

潜在意識のなかにあったみんなの欲求・願望を、商品としてぱっと出してしまった。

新しい価値観をプレゼンテーションしたといえます。

 ネットにおけるビジネスを考える上では、大きなヒントになっています。

当時、アイボを売りますよ、といっていた人は少なかった。私なども知らなかったわけです。マスメディアにはそれほどアピールしなかったが、アイボを買いそうな方々をリサーチして売ったのでしょう。ネットはピンポイント攻撃ができるという強みがあります。

 スカイラインGTの例。

 品川のα自動車が3日間で480万のGTを完売させた。分かったことは、みな転売目的で買った。投機目的で買った。転売目的だから買う方のリストをもっていたのだと思います。

 最後にネットを使って新しい生き方を演出できますよ、と提言したい。毎日、毎日ビジネス書の書評を詳しく書いている人がいます。発行部数9600部です。

 どうやってこの人は生計をたてているか、知らなかった。ところがこの人、会ってみたら日本航空の運行部の課長だった。毎日毎日ビジネス書の書評を書くことできるのか?

メルマガは有益じゃない情報はやめる厳しい世界です。毎朝4時に起きる。行きの電車と帰りの電車で全部読んでしまう。そういう意味では、インターネットの世界は、自分の個性を伸ばす上では、非常に面白いと感じています。

望月:「きもの人の話しのなかで、アドバイスがすごいパワーということでしたがメールでの質疑応答を用意しているということでしょうか?」

FAQで、着物人というのは、メールマガジンを3つ持っている。一人ひとりのレベルに対応している。初級者むけなのか、中級者むけなのか、上級者むけなのか?かゆいところに手が届く。電話をかければ応えてくれるだろうし、マンツーマンのニーズに応えている。きもの、うしくつむぎは、そんなにも素晴らしいものなのか?そんなに高級なものか?

須永:私の持っている着物。岐阜県で作られている。着れば着るほど価値がでてくる。