未来構想創立7周年記念行事・第69回未来構想フォーラム

      「世界へ開かれた日本   我々は何を為し得るか?」

         
平成20年1月23日    生涯学習センター(新橋)

パンフレット プログラム 資料 Photos &メモ 第11回未来構想より

当日のフォーラム会議資料として波多野先生の論文等ネット上で公開されている情報を編集して
お知らせいたします。
(文責:事務局) ぜひご熟読の上、ご参席ください。ご意見は事務局へ!

多野敬雄(はたのよしお) 氏

                     

プロフィール

19321生まれ, '50学習院高等科卒 '53年東大法中退,外務省入省 '56プリンストン大卒

'67吉田首相秘書官; ,,パリOECD
経て
'75年大臣官房人事課長,'77年総務課長,
'81
年在米公使,'82年中近東アフリカ局長

''84年大臣官房外務報道官,昭和天皇御進講役'87年ジュネーヴ国際機関()大使,

''90 国連()大使, '94 ()フォーリン・プレスセンター理事長 '03 学習院女子大学長

 '06 学校法人 学習院 院長・理事長

主な著書:「この一冊で世界が判る」,「日本     人は国連を知らない」など。 



世界の中の日本

、国連の場で日本の主張を!

   「国連に過度な期待をしてはいけない。国連改革の最大の問題点は安全保障理事会の改革、
   常任理事国への過大な権限集中、途上国からの加盟国の選定の調整が課題。191カ国の
   加盟国が自分の国益を推進するために裏面工作するなど相当泥臭い、生臭い機関。日本も
   その中に入って国益を主張しなければならない。世界の耳目が集中する安全保障理事会、
   特に常任理事国になって発言の場を確保、国益を主張することが極めて重要である。」
    また日本の常任理事国入りの必要性を説くが「この問題に対する政治家、財界、マスコミなど
   国内のコンセンサスができていないことが最大の問題だ」厳しく問いかける。併せて日本が常任
   理事国に入ることは「発言の場を得ることであり、国益を主張できることになる」

 
2、文化的鎖国状態の打破
 
ーロッパに行くと共通通貨のおかげで、国境を越えるときにお金を換える必要もない。
  ライフスタイルも価値観も非常に似通ってきています。ヨーロッパはグローバル化が
  進んでいるのですが、日本はいまだに島国のまま取り残されているという感じが
  いたします。どういう点が島国的なのか、四つ程取り挙げます。

1)平和への寄与
  日本人は危ない橋は渡らない。国連の平和維持部隊に参加するといっても、紛争が 起きたら大変だ、
  ということで、みんな基地にこもってしまう。外国からすると、なんのための平和維持部隊かということに
  なってしまう。日本は現在、ゴラン高原にある、イスラエルとシリアとの間に引かれた休戦ラインを監視
  する平和維持部隊の後方支援のために、自衛隊の50人の小隊を派遣しておりますが、国連軍のオランダ
  人の現地司令官は「これはいらない」と言ってきました。日本人を預かって、もし怪我でもさせたら厄介な
  ことになる。特別扱いしなければならないが、現場ではそんなことは難しい。」と


2)内なる国際性
  
日本が島国であることの特徴としていえることは、外国人を歓迎しない、外国人を日本に入れたがらない
  ということだと思います。
  「日本もアジアの大国で豊かな国なのだから、日本も入れろよ」、と言われて、清水の舞台から飛び降りた
  つもりでベトナム難民、1万名を受け入れました。ところが優秀な人はどんどん日本から出ていってしまう。
  食べるものも着るものも十分に与えられ、お小遣いももらえるのに、出ていくというのは、日本の社会に
  本当に受け入れられたと、彼らが感じていなかったためではないかと思います。。そうした人たちのかなりが、
  移った先で成功していますが、多分、日本で一生懸命に働いてみても、あまり成功のチャンスはなかった
  かもしれない。今年の4月にスイスの経営開発研究所というのが、世界主要49カ国の経済競争力のランク
  付けをしました。 日本が一位ないし2位にある分野は実はかなりあります。総人口に対する高校卒業者数の
  割合とか長寿の割合ではもちろん日本がトップです。ところがそのなかでビリというのがいくつかあります。
  そのために日本は49カ国中の30位という計算になってしまうのですが、ビリのひとつが文化の閉鎖性、
  外国人の雇用機会もビリです。、日本という国はこれから変わるべきところを多々抱えています。


3)英語の問題は、教育の問題。

4)農産物(お米)を輸入しない、政治問題

しかし、外交が世論に左右されてはいけないというのは、もう今の世の中では成り立たない話で、外交は
世論を代表しなければいけない、という時代になっていると思います。役人は税金によって養ってもらって
日本の国益のために尽くす。そのときに世論のおもむくように外交を進めるのが外交のあるべき姿であって、
世論に動かされないような外交というのは現在の世の中では成り立たない、と思います。
しかしその一方、いま申し上げたように日本の世論のあり方がグローバル化時代から取り残されて、
グローバル化時代からかけ離れたものになっているということが、仮にその通りだとすれば、その世論に
動かされるのが正しい外交なのか、または世論に左右されない外交が正しいのか。これは、外務省に入った
者がみな悩んでいるところだと思います。そして世論に左右されない外交の方が正しいというようなことを
言う人や、その通り実行する人もいて、これが外務省の悩みのひとつになっているのではないかと思います。
残念ながら今は時代が変わり、われわれもいろいろと大きな悩みを抱えていうというのが実情です。


3、大衆迎合のマスコミ
 グローバル時代にもっとも重要な役割をもつのはやはりメディアではないでしょうか。
 メディアの方は情報を取って記事にしたいから役人を追いかける、役人は予算を取って自分の
 担当する事柄を法律にするために政治家を追いかける、政治家は良く書いてもらいたいからメディアを
 追いかける、ということで三すくみの状態という感じがありました。
 ところが最近は、メディアの時代というわけで、役人もメディアを追いかける、政治もメディアを追いかける
 状態です。そういう時代になったといえます。それだけにメディアには責任をもってほしいと思いますが、
 国際問題に関する限り、メディアは責任を果たしていないのではというのが、私が受ける感じです。
 買ってもらえなければ買ってもらえるように、大衆にとって関心があるものを大きく扱わざるをえない」
 新聞は日本では世論に追随するのに忙しく、世論をリードする役目は忘れているのではないかという感じが
 します。私としては、日本の国際化に当たってメディアの今後に期待するところ大なわけであります。
  メディアというのはなにも日本だけの問題ではなくて、メディアの偏向が目立つ国は少なくありません。
たとえばイスラエルや中近東に関する問題に関してはニューヨークタイムズを含めてアメリカの新聞は
イスラエルに偏向していると思います。そのために、世界もずいぶんと迷惑しているわけです。つまりメディア
の問題は 日本だけではなくて世界のあらゆる国が抱える問題です。


何を為しうるか?

1、国民自らが考える
現在のメディアは、まさに日本の国を支配しているといっても過言ではない。日本のメディアは外国と違って
批判を自らの存在意義と観念しているから、ほめることをしない。役人も政治家も、いかにメディアに批判され
ないかということばかりに気を使い、「メディア恐怖症」になっている。テレビは視聴率を常に意識しているから、
当然視聴者が関心を持つ内容ばかりを報道することになる。そして国際問題は置いてけぼりになってしまうのだ。
国民の関心と国際問題は、いわば「ニワトリと卵」の関係であり、メディアが報道しないから国民が関心を持たない、
国民が関心を持たないからメディアが報道しない、という悪循環に陥ってしまっている。
なぜそうなってしまっているのか、は日本の最も基本的問題かもしれない。それは、国民が自ら考えることをせず、
新聞、テレビをうのみにするところに大きな要因があると思われる。これは、日本の教育によるところが大きい。
外国では、教育とは自分で考えさせることであるが、日本の教育は、自分で考えるよりも「覚える」ことが中心であった。
「学ぶ」とは「まねぶ」のが語源だと言われるが、こういう国だからこそ、メディアの世論支配も可能だったといえよう。
このような世論のままで、このような過程で世論が作られるのなら、その世論に従う外交は危険なものにならないかと
私は危惧する。購読者数と視聴率にばかり重きを置いたメディアと、またそれに左右される人々が作る世論では、
正しい方向性を示せない。国民が自ら「考える世論」ができる時にこそ、それに従う外交も正しいものになるだろう。
教育のあり方が変わり、メディアの姿勢が変わるのは、一朝一夕になされることではない。しかし、変える努力の
積み重ねによって、時間をかけても日本が変わっていくことを願っている。


2、教育改革 “学習院の試み”

 
学習院の校風にはおおらかな受容性があるので面白い創造的な学生がたくさん育つ。戦後の日本の教育は、
 画一的な人材を量産することには成功しましたが、その代償として特異な才能の持主が冷遇された。その点、
学習院には ジョン・レノン夫人、オノ・ヨーコさん、アニメの宮崎駿さんも特色ある学習院の卒業生ですけれど、僕が
つきあった先輩の中で学習院らしいと思ったのは、高等科時代から随分思い切ったことを書いていた三島由紀夫です。
確かに学習院には個性と才能を自由に伸ばせる環境があります。学習院女子大学長の折、英語コミュニケーション
学科を新設して,授業は全部英語,2 年生は全員カナダへ留学させるようにした。

      
*㋆にご講演を戴いた磯村尚徳氏も学習院卒でした。

この文は別紙の出典より編集したものです。